コトリカゴ

 今日の授業が終わり、下校の時間となる。自分のクラスのHRが終わって、帰りの待ち合わせ場所である昇降口へと向かった。

 今日はこっちが遅かったようで、莎菜が先に待っていた。俺の姿に気付いて、にこと微笑む。

「お待たせ」

「ううん。私もさっき来たところだよ」

 靴を履き替え合流すると、莎菜があれ? と言う。

「智喜君は?」

「智喜なら1本早い電車に乗るって言って、ダッシュで帰っていったよ」

「なーんだ。今日は3人で帰れるかと思っていたのに」

「葬儀の手伝いもあるから、急ぐってさ」

 その理由もあったが、お前らふたりの邪魔はしたくねーからなと、意味深に笑っていた理由は伏せておく。

「そっか」

 なら仕方ないねと歩き出し、俺達も帰りを急ぐことにした。


 智喜のように俺も莎菜も手伝いはなかったので、いつも通りの帰路に就いた。
 昨日と同じくらいの時間に着いたが、昨日とは違う雰囲気が村に流れていた。

 葬儀場特有の重く、物悲しい空気。それがまるで村全体を包んでいるようで。それまでは他愛ない会話で楽しく帰ってきていたが、村に入った途端、ふたりして口を閉ざした。

 日が落ち、少しひんやりとしてきた風が、自転車を漕ぐ肌を切っていく。

 横井の家の庭にはすでに車やバイク、自転車が数台止まっていて、人の出入りが見られた。
 でもまずは通り過ぎ、莎菜の家に向かう。いつもなら家の中、もしくは玄関前まで送るが、今日はゆっくりしている時間はなかった。

「じゃあまた明日。って、横井の家で会うだろうけど」

「そうだね。でも柊雨君、今日もありがとう」

 ううんと言う代わりに、にこと微笑む。もう一度じゃあと手を上げ、自転車に乗った。

 莎菜は家族で通夜に向かう。俺はひとりで向かうので、まず自宅へと戻った。

 庭に入り、自転車を雑に止める。母親は手伝いに行っているので、案の定明かりは付いておらず、大きいが故のしんとした静けさが、家全体を纏っていた。

 カゴからリュックを出し、数珠を取りに行こうとする。

 ――殺風景ではあるが、自宅の庭は広い。そこには一軒、小屋がある。
 家と同じ木造の造りのそれは、家屋として住むには小さいが、物置きとしては大きい。その中には使われなくなった物や、たまに使う道具などがしまわれているだけで、普段そうそう足を運ぶことはない。

 風通しを良くする為に、ひとつ小さな窓があるが――ふっと。明かりが消えた気がした。

「ん?」