君の放つアルテミスの矢が、僕の胸を貫いた

  【オリオンの物語⑥・終】

 純潔を守り、狩猟の神と崇められているアルテミスは、逆光になった大きな獣へと迷うことなく水平線へと矢を放ちました。月の光のように鋭い矢は見事に命中しました。
 苦しみもがく獣は重い肢体をずるずると引き摺り、岸へと上がります。沈む太陽を背にした巨体は砂にまみれ、ゆっくりと顔を上げました。
「なぜ、どうして、貴方が」
「アルテミス⋯⋯」
 息絶える直前、女神の名前を呼んだ獣の正体はオリオンでした。

 誤ってオリオンを殺してしまった事実にアルテミスは悲しみの海に沈みました。最悪の終局は突然やって来るものなのです。
 何日も何日も泣き崩れるアルテミスを見かねた神々の長・ゼウスは、せめてもの慰みにとオリオンの骸を空へ投げ、星座に変えました。
 それから月の女神・アルテミスは、闇夜を照らすために毎晩、天空を歩くようになるのですが、その道はオリオン座の近くを通るようになったのです。

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