天空では冴え渡る星星の中、オリオン座が右隣の牡牛座に挑もうとしている。橙色の一等星・アルデバランを持つ牡牛座には、女ったらしのオリオン座から逃げた女達を模した星々の塊、何とか星団があるんだと、望月に教えてもらった講義内容を思い出す。
「⋯⋯弁解できないんだね」
怒りもせず、丁寧な口調で見咎めてくる。出来の悪い生徒のように何も言い返せない。
「それと、柘植さんは彼女って言ってるんだよね?」
「それも違う。柘植さんが勝手に――」
「⋯⋯天野くんの態度が期待させちゃうんだよ、そういう所に。陽もそう言ってた」
否定する声は北風に飛ばされ、傍らで流れる矢川の水底へとあっという間に飲み込まれていく。その代わりに「陽」と発音した余韻がキラキラと僕の耳に留まったままだ。
「星に興味持ってくれて嬉しいな、って喜んでたのに私だけだったんだね⋯⋯、何か馬鹿みたい」
「望月! 僕は、」
「⋯⋯もう、何か疲れちゃった。今夜はもう帰る」
ずっと正面から貫いていた鋭い視線を落とすと、頭頂部をこちらに向けるように俯き、望月は白い息を漏らした。
悲しまれているなんて驕りなんてしない。呆れているならそれでもいい。だけど僕に向かって吐いた溜息は、望月のことを顧みようともしない親を「あの人」と呼ぶ時と同じ――蔑みだった。
「矢川はね⋯⋯、星を観るのに最高のパノラマで、それに、心から一人きりになれる特別な場所なの⋯⋯、私、だけの」
緩やかに、そして確実に獲物を撃ち落とすような囁きが告げる。
「もう、二度と来ないで」
「⋯⋯弁解できないんだね」
怒りもせず、丁寧な口調で見咎めてくる。出来の悪い生徒のように何も言い返せない。
「それと、柘植さんは彼女って言ってるんだよね?」
「それも違う。柘植さんが勝手に――」
「⋯⋯天野くんの態度が期待させちゃうんだよ、そういう所に。陽もそう言ってた」
否定する声は北風に飛ばされ、傍らで流れる矢川の水底へとあっという間に飲み込まれていく。その代わりに「陽」と発音した余韻がキラキラと僕の耳に留まったままだ。
「星に興味持ってくれて嬉しいな、って喜んでたのに私だけだったんだね⋯⋯、何か馬鹿みたい」
「望月! 僕は、」
「⋯⋯もう、何か疲れちゃった。今夜はもう帰る」
ずっと正面から貫いていた鋭い視線を落とすと、頭頂部をこちらに向けるように俯き、望月は白い息を漏らした。
悲しまれているなんて驕りなんてしない。呆れているならそれでもいい。だけど僕に向かって吐いた溜息は、望月のことを顧みようともしない親を「あの人」と呼ぶ時と同じ――蔑みだった。
「矢川はね⋯⋯、星を観るのに最高のパノラマで、それに、心から一人きりになれる特別な場所なの⋯⋯、私、だけの」
緩やかに、そして確実に獲物を撃ち落とすような囁きが告げる。
「もう、二度と来ないで」
