君の放つアルテミスの矢が、僕の胸を貫いた

  【オリオンの物語⑤】

 名案を思いついたアポロンは、すぐさまアルテミスの所へ駆け寄りました。
「アルテミス、お前は本当に弓の名人だよな。どんな獲物でも仕留められるんだから凄いよ」
「アポロンたら、急に褒めてどうしたの?」
「でも、いくらお前でもあの海の獣は仕留められないか」
 夕陽を浴びた沖を泳ぐ影を指差します。
「あれは何?」
「何だ、知らないのか? 最近この海を荒らしている獣だよ。このままだとお前も俺もやられてしまうかも知れない」
「ただ泳いでいるだけに見えるわ」
「あの獣は海の向こうで何人も罪なき女達を襲ったんだと聞いたぞ。アルテミス、お前もそんな目に遭いたくないだろ?」
「でも、まだ何もしてきていないのに」
「もしかしてアルテミス、お前、自分の腕に自信がないのか?」
 アポロンの挑発に、かっと頭に血が上ったアルテミスは立ち上がりました。
「あれぐらい仕留められるわよ! ――見てなさい」
 (以下、続く)

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