朝になれば星々は退場し、太陽が神々しく地上に現れる。
日没前はその存在感を誇示するように校庭をオレンジ色に染め上げ、その向かい側で、紙みたいにぺらぺらの月が浮かんでいた。
「年が明ければ大会だ。うちは守りが強いけどいまいち攻撃力が足りない。お前等、このままでいいのか?」
部員を集合させるなり、サッカー部顧問はいの一番にそう言い放った。
叱咤激励と分かっていても、厳しい評価に思わず僕はヒヤリとする。回りのチームメイトも、普段はにやけ面の米倉達も顔をひきつらせた。
すると、目配せする顧問の合図で、僕の前に座っていた太谷が立ち上がると全員に向き合った。その顔は一切動揺していない。
「ここからは、キャプテンの俺が説明させて貰います。コーチの言う通り、今後はとにかく点数獲る方針に切り替える。いざという時に確実に決められるシュート力を、全員に身に付けて欲しい」
堂々と言い切られた直後、部員一人一人を順番に睨ねつけるような眼差しに全員が固まる。後輩の一年生達はその圧力に心なしか怯えてもいる。
すると、今度は大きな目が細められ、今度は快晴のような笑顔をもらした。
「俺達なら出来るよ。だから、皆で県大会優勝しよう」
所詮うちは公立中学校のサッカー部で、地区大会で上位なら好成績な方だ。ただの夢でしかない宣言。けれど、効果は絶大だった。
「だよな、俺等なら目指せるよな!」
「そうと決まったら練習しようぜ!」
数分前まで萎縮していたのが嘘のようにチームメイト達は鼓舞され、一年生の中には精神的にも支柱となるキャプテンに熱い眼差しを注いでいるのもいた。
ペアを組んでシュート練習することとなり、太谷に名前を呼ばれた二人組が立ち上がる。後輩達は意気揚々と、同学年の奴等は一年生に「しごくから付いてこいよー」と先輩面で、グラウンドに散っていく。
最後の組が呼ばれたのち、ぽつんと、僕だけが残った。
「アマは、俺と」
