数年ぶりに帰省した。実家は兄が継ぎ、島に一つしかない旅館に野菜を卸している。兄の手伝いで野菜を運びに行った時、同船していた旅行者の女性を見かけた。床にばらまいてしまったカードを拾ってくれたから印象に残っていた。首が少し隠れる程だった黒髪は、今にも腰に届きそうだ。夜、酒を飲んで軽くなった口で昼間の違和感を家族に話した。家族は明日の天気でも話すかのように「白無垢と言ったら文金高島田だろう」と返す。そこで初めて、地元には人身御供の伝説がある事を思い出した。