アオハルな恋とウラらかな復讐

「ねえ、ぼくたちのファンサイトあるって知ってた?」

晴が見せたスマホ画面には、『ツイプリファンクラブ』の文字。スクロールした先には、盗撮写真、行動記録、妄想じみた投稿が並んでいる。執着を通り越して狂気だ。   

「アホらし」

葵は眉をひそめ、さっさと家へ入っていく。 
 怒るより先に、呆れているらしい。

「反吐が出るよね」

晴は笑顔のまま、冷たい目で画面を閉じた。

玄関では、葵が黒柴のサクラを撫でていた。麗が近づくと、サクラは唸り声を上げる。

「何で私だけ……」
「サクラもおまえを下僕だと思ってんだろ」

腹立たしいくらい、葵は楽しそうに笑った。

「おかえり~」

ふいに大きな手が、麗の頭に触れた。

「フクロウさん!」
「制服似合ってんじゃん」

フクロウはまるで幼い子供にするように、麗の頭をよしよしと優しく撫でた。

「ありがとう、ございます」

高身長のフクロウを見上げ、麗は苦笑した。

 この年で子供扱いは、ちょっと恥ずかしい……。

「小さかった頃が懐かしいなあ」

梟に似せたゴッドイエローの瞳がわずかに細まる。

「くう~ん」

サクラが甘えるようにフクロウの足元に寝転がった。

「サクラちゃん、寂しかったでちゅか~?」

サクラを抱き上げ、フクロウは別人みたいに頬を緩めた。
 相変わらず、動物への愛が引くほど重い。

「そうだ。久しぶりに、麗ちゃんの淹れたコーヒーが飲みたいな」

フクロウは麗に顔を向け、白い歯を見せた。

「……はい」

麗は小さく頷き、台所へ行った。

 お湯を注ぐたびにコーヒーの香りが鼻をくすぐる。
 フィルターからポタポタ零れ落ちるコーヒーをぼうっと見つめる。

 コーヒーは、嫌い。
 香りが、幸せだったあの頃を思い出させる。
 いつも笑顔に満ちていた両親の喫茶店。
 湯気の向こうに、戻れない日々が滲む。
 全部、もう戻らない。
 コーヒーの淹れ方なんて、忘れてしまいたい。なのに、体が勝手に動く。まるで、両親の温かい手が添えられているみたいに。
 最後の一滴が、褐色の水面に落ちる。
 一瞬。
 赤色に変わる。
 ……忘れたい。
 なのに。
 忘れられない。
 母の声、温もりだけを覚えておきたいのに。
 あの日の光景だけが、鮮明に刻まれている。
 心臓がきゅっと縮む。
 唇を強く噛み締め、首を横に振る。
 壊れる前に戻りたい。 
 もう一度、お母さんに会いたい。
 名前を呼んで抱き締めてほしい。

 まだそんなこと言ってるの?

 カップから立ち上る湯気が、黒いもやになる。
 もやは手のような形になり、麗の頬を包む。

 一度壊れたものは元に戻らない。
 幸せだった過去にしがみつくのは、辛いだけ。
 今度は自分が壊す番でしょ。

 原型のない黒い手が、するりと入り込んでくる。

 だけど。
 壊すだけじゃ何も残らない。
 
 黒い手を外に追い出すように、深く息を吐き出す。

 奪い返して、選び取りたい。
 ーー私の人生を。

 カップの湯気は、白に戻っていた。

 3人分のコーヒーを応接間に運ぶと、フクロウが真っ先にカップを手に取った。

「サンキュー。ん~、香ばしくて深い味わい。店出せるレベルだわ」

歯の奥がむず痒い。褒められているのに、息が詰まる。室内に充満したコーヒーの香りにむせ返りそうになる。
 奥歯を噛み締めて堪えていると、ポケットの中でスマホが振動した。スマホを開くと、理事長からのメッセージが届いていた。葵と晴が同時にスマホを見て、同じタイミングで舌打ちをした。

「女か? ライオンみたいにハーレム作って女を蔑ろにしてたら、刺し殺されるかもしれねえぞ。おまえらの遺体は、掃除屋にお願いしてやるよ」

にやりと不敵に歪む口から八重歯が覗く。

「女じゃねえし。叔父さんからめんどくせえこと押しつけられちまったんだよ」

晴の手を雑に振り払い、葵は理事長からのメッセージをフクロウに見せた。

「ウラ風紀委員? よく分かんねえけど、おまえらをこき使うなんて、さすが姐さんの実弟だな」

口をへの字に曲げ、感心したように頷く。

「フクロウさん、理事長のこと知ってたんですか?」

目を見開く麗に、フクロウは苦笑した。

「おれを誰だと思ってんの。ウラ界隈で知らないやつはいねえよ」

そうだった。ただの動物好きな変人じゃない。ウラアカ作成者も、きっとすぐ見つけられる。
 ……その前に、理事長からの指令を確認しないと。

『オリエンテーリングで、ウラアカの情報を集めなさい』

「オリエンテーリング?」 

麗が首を傾げる。

「1・2年合同の生徒会行事だよ」

晴が軽く説明する。

「めんどくせえ」

葵は露骨に顔をしかめた。

けれど、これは命令。
 自由なんて、やっぱり簡単には手に入らない。

「そんなことより、フクロウさんにお願いしたいことがあるんだけど」

晴が人懐っこい笑みを浮かべる。

「ウラアカの作成者を探して欲しいんだ」

フクロウは晴に一瞥をくれると、麗に声をかけた。

「おれがやらないと、麗ちゃんが困ること?」
「……はい。困ると、思います」
「じゃあ、やるよ」

微笑んだフクロウは親指を立てて、頷く。

 何で私にだけ優しいんだろう。
 裏があるんじゃないかと疑ってしまう自分が、少し嫌になる。でも、裏社会の人だから、疑っちゃうのはしょうがない。


「麗ちゃん、お友達からメッセージ着てたよ」

麗がカップを洗っていると、晴が麗のスマホを持ち上げてみせた。

「勝手に見ないでください」

急いで手を拭いて、晴の手からスマホを取ろうとしたが、葵に奪われた。

「明日の放課後、キーホルダー買いに行こう? くだらねえ」

眉をひそめた葵がスマホを放り投げる。慌ててキャッチして画面を見ると、恵とのトーク画面に新しいトークとスタンプが増えていた。

 誘ってくれた! 嬉しい。メグ、優しいな。本当に理想の友達。

 麗は感激して画面を見つめる。葵は舌打ちをして麗にデコピンをした。

「いたっ」
「うかれてんじゃねえぞ」

葵は苛立った様子でリビングを出て行った。

 何、あいつ。浮かれて何が悪いの。明日はメグと一緒に帰ってやる。いつまでも下僕だと思わないでよ。

「アオって本当、不器用。それに、過保護だし」

くすくすと肩を揺らす晴に、麗は首をかしげた。

「過保護? 支配の間違いでは?」
「ははっ。そうだね。……麗ちゃんはそういう人を、引き寄せちゃうのかな」

麗の裏側までも見通すかのような鋭い瞳。その奥に揺らめくのは愉悦と狂気。
 目を逸らしたいのに、視線が囚われて動けない。

「僕は、麗ちゃんの意思を尊重するよ。……昔みたいに僕を頼ってほしいな」

柔らかく包み込むような甘い囁き。 
 だが、そのウラには麗の絶望を喜ぶ異常な執着が潜んでいる。

「遠慮します」

スマホを握りしめ、部屋に戻った。

 明日楽しみにしていると恵に返信すると、すぐに目をハートにしたうさぎおじさんのスタンプが返ってきた。

「私もこのスタンプ買っちゃおうかな」

恵とおそろいのスタンプ、おそろいのキーホルダー。
 普通の友達っぽい。
 放課後ショッピングを楽しみだなあ。
 中学の話とか聞きたいし、恋バナとかもしてみたい。
 私もいつか彼氏できるかな。
 メグは好きな人いるかな。
 葵のことかっこいいって言ってたけど、中身全部ばらしてやろう。葵の悪口で盛り上がれたら最高! 
 ……メグだったら、私の過去を打ち明けても友達でいてくれるかな。

 写真立てに目を向ける。母の笑顔が、背中を押してくれているようだった。


 期待に胸を膨らませ、翌朝登校した。ファンたちに囲まれて身動きがとれなくなった葵と晴を置いて、軽い足取りで教室に向かう。鼻唄を歌いながら、スキップできそうなほど、心は弾んでいた。

「メグさ、長宮麗とガチで友達になったの?」

隣のクラスの前で、恵と立ち話をしている女子の声が聞こえてきた。

「そりゃ友達になるでしょ」

当然の如く頷く恵に、麗の顔は綻ぶ。声をかけようと一歩近づいた時。

「根暗のキモ女とかウラアカに書いてたくせに」

……は? 

 思考が止まる。目眩で視界が揺れる。息が、うまくできなかった。

「だって本当のことじゃん。私、葵くんのこと本気だから。あんなのが葵くんと同棲とかキモい」

あははと笑う声が、頭に響く。
 友達だと思っていたのは、私だけだったーー。
 胸の奥で、やっと灯った春が音もなく踏み潰された。
 真冬の海に突き落とされたような衝撃。息ができないまま、暗い深海まで沈んで這い上がれない恐怖。

「でも、レイを使えば簡単に近づけるし」
「あっ、ヤバいよ」

麗に気付いた女子が、恵の肩を叩いて顔をひきつらせた。
 振り向いた恵は、表情を強張らせ、無理矢理笑顔を取り繕った。

「あっ、えっと、これは違うの! 冗談だから! 匿名だからちょっと盛っちゃったっていうか……」

あたふたと白々しい言い訳をする。
 もう、何も聞きたくない。
 海は凍りつき、氷の中に閉じ込められた。
 必死に話しかける恵の声は、氷に弾かれて麗にまで届かない。
 
 友達だって言ってくれて、本当に嬉しかったのに。
 全部、嘘だったの?
 期待なんてしなきゃよかった。
 私には、“普通”は手に入れられない。

 悔しいでしょ。
 傷つけられたままでいいの?
  
 内側から暗い影が囁く。
 胸の奥の蓋がわずかに持ち上がる。

「レイ、ごめん! 投稿削除するから! 私たち友達でしょ。許してくれるよね?」

切実に訴える恵が、麗の肩をきつく掴む。

 我慢しなくていい。
 許す必要なんてない。
 やられたらやり返さないと。

「……バカにしないで。友達ぐらい選ぶ権利はある」

恵の手を払いのける。前髪の隙間から覗く鋭利な瞳で、恵を貫く。
 天敵を前に怯える小動物のように震えている。
 
 そんなに震えちゃって。

 「……ほんと、かわいそう」

ふっと静かに笑って、踵を返す。

「友達、いなくなっちゃった?」

すぐ後ろにいた晴が、憐憫の眼差しを向ける。

「簡単に信用しやがって」

隣に立つ葵が口角を上げる。
 麗は静かに2人を見据える。

 この2人が元凶なのに。
 何で、ほっとするの……。

 自分を包み込む氷が、少しずつ溶け出す。
 視界が滲み、2人の顔がぼやける。震える唇を噛み締め、2人の横をすり抜けて教室に入った。

「なんだよ、あの顔」

葵がばつが悪そうに視線を逸らす。

「……俺のモノに手出しやがって」

立ちすくんでいる恵を睨み、低く唸る。恵の肩がびくっと震える。葵はそれ以上何も言わず、教室へ向かう麗の背中を追った。

「麗ちゃんにはああいう顔が似合うよ」

愉悦に満ちた表情で、麗の後ろ姿を眺めた。

「でも、あんな顔をさせていいのは、ぼくだけなんだよね」

恵に冷ややかな目を向け、ぽつりと呟いた。

 その日の夜は、強風が吹き荒れた。
 風が窓を揺らす音が、浴室に響く。
 麗は顎までお湯につけて、目を閉じた。

 晴の言うとおり、期待しなきゃよかった。
 普通の高校生活、友達との青春がやっと手に入ると思ったのに。
 利用されただけだった。せめて、ほんの少しでも友達になりたいって思ってくれていたら……。
 友達も、青春も、普通も、また奪われた。

 2人の前で零れそうになった涙が、今になって頬を伝う。湯船にぽたぽたと流れ落ち、嗚咽が漏れる。

「うっ……」

悔しい。馬鹿みたいに心踊らせて、期待してた自分が情けない。
 あははと笑う恵の顔を思い浮かべると、余計に胸が締め付けられる。声を張り上げて大声で泣きわめきたい。恵への恨みつらみを叫びたい。

 そう思っても、声は出ない。
 胸を拳で殴るように叩いて、高ぶった気持ちを発散させる。
 顔を洗って涙も一緒に洗い落とす。
 少しだけ気持ちが落ち着いた。

 根暗のキモ女って思いながら、あんなに明るく笑って、「友達」だって言ってたなんて……。
 まるで仮面を被ってるみたい。
 表は、正義の笑顔を浮かべたきれいな仮面。
 その裏は、我欲に満ちて汚れている。
 きっと誰もがきれいな仮面を被って、汚い自分を隠している。
 ……私も、そう。
 表も裏もきれいじゃない。
 きれいな仮面を被る権利すら奪われた。
 笑顔は、あの日に置いてきた。
 もう、二度と戻ってこない両親との思いでの日々。
 幸せ、温もり、優しさが溢れた平穏。そして、何にも縛られない自由と未来への希望。当たり前にあった普通の人生を、自分の手で取り戻したい。
 だから私は、全てを奪ったあいつを許さない。そしてーー。

 ガタガタと強風が激しく窓を鳴らす。

「復讐してやる」

ガサガサ。

 麗の声に被せるように、脱衣所から音がした。すりガラスの扉の向こうに、人影が見える。

 うそ……。
 鍵、かけ忘れてた?

「ちょ、ちょっと待って、開け……!」

扉を押さえようと立ち上がった瞬間。

 ガチャッ。

 扉が開いて、葵と目が合った。

「キャーッ!」

急いで湯船に体を沈める。

「おまっ、鍵閉めろよ!」

顔を真っ赤にした葵は即座に扉を閉めた。

「見ましたよね!?」
「み、見てねえよ!」

明らかに動揺している。

「アオ、覗き? さすがに引く」

晴が現れ、顔をしかめた。

「ちげーよ!」

耳まで真っ赤にした葵は、そのまま脱衣所を飛び出した。

「ガキだなあ。そうだ、麗ちゃん」

含み笑いをする晴の声に呼ばれ、耳をすませる。

「あの子、もう近づいてこないと思うよ」
「えっ?」
「麗ちゃんには、ぼく達がいるでしょ。……ひとりにはさせないよ」

優しい声音なのに、逃れられない檻のようだった。
 湯気の中で、麗は目を伏せた。
 葵と晴からは、逃れられない。
 私はやっぱり、2人の“モノ”。
 自由は、ないーー。

 いつの間にか風は弱まり、窓の隙間から入り込む湿った空気が、肌に張り付いた。

 翌日から教室ですれ違っても、恵はもう、笑いかけてこなかった。けれど、時折こちらを気にするような視線だけは感じた。連絡アプリの名前を削除しかけるが、麗の指はそれ以上動かなかった。

 やばい、やばい!! オリエンテーリング遅刻とか、ありえない! 

 ふらつく麗の腕を葵が掴んだ。

「早くしろ。校門、閉まるぞ」

葵に腕を引かれ、全力で走る。

「あとちょっと!」

晴に背中を押され、どうにか滑り込んだ。
 その途端、チャイムが鳴り、校門は閉められた。

「アオ、作戦にしても、ギリギリすぎたんじゃない?」
「これぐらいが自然だろ」

……作戦? 何それ。

「ぼくたちと麗ちゃんのペアが同じグループになっても、誰もなんとも思わないでしょ」
「しょうがねえだろ。理事長命令だ。おじさんには勝てねえからな」

私には連絡きていない。 
 また、私の知らないところで決められている。
 やっぱり私は、“モノ”。
 モノじゃなくて、人としてみてほしい。
 私も平等にーー。

「君たち、残った番号札持ってって。あと、これ」

校門を閉めた生徒が、小さく折り畳まれた紙と、手書きのしおりを渡してきた。
 1年3組の列に加わってすぐ、澪が壇上に上がった。
ざわついていた生徒達は静まりかえり、澪に注目した。

「皆さん、おはようございます」

柔らかく聞き取りやすい声が、校庭に響いた。

「番号札は、1、2年生合同でグループわけしたものです」

さっき2人が話してたのって、このこと?

「ぼくら3人、同じグループだよ。よかったね」

晴が笑顔で耳打ちしてきた。

何も良くない。このためにわざと遅く家を出て、全力疾走させたの⁉ しかも理事長命令とか、ありえない!

 麗はボストンバックの肩ベルトを強く握りしめた。

「グループで3つのミッションをこなしてもらいます」

澪の澄んだ声が、静かに校庭へ響く。

「異学年で、ほぼ初対面同士。不安に思う方もいるでしょう」

澪の眉が、わずかに動く。

「しかし——呉越同舟」

空気が張り詰めた。

「敵対していても、共通の目的があれば協力し合える」

綺麗すぎる笑顔。
 まるで、自由を測る檻みたい。
 ……やっぱり、この人は危険だ。

「あいつのうさんくさい笑い方、おまえに似ててむかつく」

晴の方を振り向いた葵が小突いた。

「ぼくの笑顔とは違うよ。ね、麗ちゃん?」
「同じです。うさんくさい」

即答すると、晴はわざとらしくしょんぼりした。だが、ちらちらと視線を送る女子たちに、笑顔で愛想を振り撒く。小さな歓声が沸く。葵が舌打ちをすると、頬を染める女子もいる。その中で、恵だけ顔を強張らせている。一瞬目が合うが、すぐに逸らされた。

「すべてのミッションにはポイントがつけられます。獲得ポイント上位3グループには、素敵なごほうびを用意しました。それは……」

生徒達から拍手と歓声が上がった。澪がマイクを手に取ると、甲高いノイズ音が響き、一気に場が静まった。

「今は秘密です。明日の閉会式を楽しみにしていてください。皆さん、頑張ってくださいね」

澪が壇上を降りると、ざわめきが起こった。

「生徒会長、やるじゃん」
晴の呟きは葵に届き、葵は不信感丸出しの顔で澪を睨んだ。

 麗はしおりを開き、ひとつめのミッションの内容に目を通した。

 最初のミッションは、スタンプラリー。これなら、ミッションをこなしながら情報も集められる。
 言われるがまま従いたくない。どうせやるなら、自分で考えて行動したい。
 籠から出してもらえなくても、抗い続ける。
 自由を取り戻すために。

 唇を引き結んで顔を上げた麗は、鋭い視線を感じて背中が震えた。
 振り向いても誰もいない。壇上の澪だけが、静かにこちらを見ていた。
 まるで全てを見透かすように——。