男が起きる前に逃げ出し、八時三十分には家に着いた。
ゲッカが来た時には暗くてよく様子が分からなかった左側の部屋の電気をトバはつける。
そこは右側の部屋と違い、非常に『女の子』っぽい部屋だった。
「で、ハナちゃんの部屋はここなんだけど、大丈夫かな」
「あ、はい」
二つの部屋の境は襖になっているらしいが、男部屋の方からはベッドが、女部屋の方からはタンスがその襖を隠していた。
襖の反対側にあるベッドは、昔二段ベッドだったものの、上段を取り外したらしく、支えの棒が残っていた。布団はトバが出かける前にクリーニングから持ち帰ったばかりで、まだビニール袋に入ったままだった。
「ベッドはそのうち買うけど、とりあえず今はそこにある方で寝てて」
「はい」
布団が入っていたビニール袋のみを回収すると、トバには早々に部屋を出ていった。
綺麗に掃除は行き届いてはいるが、まるで生活感がない、長い間人が使っていた形跡のない部屋。
しばらくして、夕食の買い出しに行ってきたカツイが戻ってきた時、トバは丁度携帯電話での連絡を終えた所だった。
「あ、トバ。あいつ何だって?」
「うん、ちょっと怒ってたけど、大丈夫じゃない?」
トバは例の『あの人』に連絡していた。ゲッカだけではなく、ハナも家出人に入ったという事を報告したのだった。
家出人の家計を支えている『あの人』は、急に二人も増えた事に激怒したらしいが、なんとかトバが宥めた。トバが『あの人』より強いというのは、実はこういう事を言っているのだった。
「人は多い方がいいじゃない」
そう言って、紅茶の容易をする為に台所へ向かうと、カツイはそのトバの背中を見ながら呟いた。
「 あいつ、トバには甘いんだもんな」
「何が言った?」
「何でもねェよ!!」
ゲッカが来た時には暗くてよく様子が分からなかった左側の部屋の電気をトバはつける。
そこは右側の部屋と違い、非常に『女の子』っぽい部屋だった。
「で、ハナちゃんの部屋はここなんだけど、大丈夫かな」
「あ、はい」
二つの部屋の境は襖になっているらしいが、男部屋の方からはベッドが、女部屋の方からはタンスがその襖を隠していた。
襖の反対側にあるベッドは、昔二段ベッドだったものの、上段を取り外したらしく、支えの棒が残っていた。布団はトバが出かける前にクリーニングから持ち帰ったばかりで、まだビニール袋に入ったままだった。
「ベッドはそのうち買うけど、とりあえず今はそこにある方で寝てて」
「はい」
布団が入っていたビニール袋のみを回収すると、トバには早々に部屋を出ていった。
綺麗に掃除は行き届いてはいるが、まるで生活感がない、長い間人が使っていた形跡のない部屋。
しばらくして、夕食の買い出しに行ってきたカツイが戻ってきた時、トバは丁度携帯電話での連絡を終えた所だった。
「あ、トバ。あいつ何だって?」
「うん、ちょっと怒ってたけど、大丈夫じゃない?」
トバは例の『あの人』に連絡していた。ゲッカだけではなく、ハナも家出人に入ったという事を報告したのだった。
家出人の家計を支えている『あの人』は、急に二人も増えた事に激怒したらしいが、なんとかトバが宥めた。トバが『あの人』より強いというのは、実はこういう事を言っているのだった。
「人は多い方がいいじゃない」
そう言って、紅茶の容易をする為に台所へ向かうと、カツイはそのトバの背中を見ながら呟いた。
「 あいつ、トバには甘いんだもんな」
「何が言った?」
「何でもねェよ!!」



