知ってほしい。そのままの君が、こんなにも素敵なことを

それから、たまに奏斗君が私をどこかに連れ出してくれるようになった。カフェとかお昼食べるとか、遊園地を覗いてみるとか。
きっと私が変だって気づいてる。

ある日、私から電話した。

「会いたい」

ただそれだけで、海で散歩することになった。
助けられた分、打ち明けようと思った。
その日は「諦めたたい」と思った日と同じように満月よ夜。

「私、本当は自分が嫌い」

そここら全部話した。今までのこと今のこと。

「今は、そこまでじゃないけど」

そして

「死んじゃえばいいって思った」

その時、彼の目が見開く。

「それはやだ……」

夏の夜、少し寒いくらいだった。
でも奏斗君は温かい。

「死なないで……」

耳元で囁かれる。

「どれだけ嫌いでも僕は好きだから……」

胸の奥できゅうと何かが鳴った。
そして涙が溢れる。

「うん……」

勝手としがみつくように彼の背中に手を回してた。

「笑真はね、ただ好きなんだ。でもそれと同時に僕の支えだから……」

「え?」

腕が解ける。

「僕もね、消えればいいのにって思った日があったんだ」

その笑顔が見上げれば月に照らされてるのに妙に遠かった。

「僕ね」

歩き出す。

「僕も自分が嫌いだったから。その時はやりたい放題で、でもそれが人を傷つけるって知ってから自分全部がダメに見えてさ」

隣の奏斗と目が合う。

「それから、誰にも嫌われたくないって努力するようになって、ちょうど――」

月を指差した。

「こんな満月の夏の夜に消えればいいのにって考えた」

ぎゅっと胸が苦しくなる。

「自分が嫌いでやってたことが辛くて、それに周りはそんなこともなくて、自分だけ必死で嫌な思いして馬鹿らしくてやめたいって」

私から奏斗君にぎゅっと抱きついてた。
優しく頭が撫でられる。

「そのまま夏の日は過ぎてったけどね、きっかけをくれたのは笑真だったんだよ?」

目を見開いて顔を上げる。

「笑真はどんな時も否定しなかったしそれでいいって言ってくれたから。自分のままでいること自体悪くないって思えるようになったんだ。自分のこと苦手な人がいても今はいいって思う」

そして両手を広げた。

「この格好も自分がしたいから。香水も服も髪も。でも笑真がいたからだから……告白のあともずっと好きだった」

「そっか……」

次々と涙が落ちてった。
嫌いな自分がこんなに好かれてること、初めて知った。