知ってほしい。そのままの君が、こんなにも素敵なことを

その日はなかなか寝付けなかった。
なんども同じことがぐるぐる回ってた。
結局、

『明日、病院行く。それ以外で外出かける予定ない』

『じゃあ病院まで行ってもいい? 笑真は待ってるだけでいいから。ちょっと話すだけでいいから』

『分かった』

 一体どんな顔でいればいいのか分からないままその次の日起きた。メールをしても早めに寝るれたのに目覚めは悪い。
病院前で少しそわそわとした。もしかしたらいるのでは? と。
 診察を受けても特に病気ではなかった。ただ少し生活が荒れてると、また来月来いと言われた。
受付に戻って会計を済ませる。
その頃に通知が来た。

『病院見えたから、待ってたら出てきて大丈夫』

スマホをポケットにしまって外に出た。

「あっ……」

声のした方を見る。

「笑真……」

金髪。

「大丈夫だった?」

彼がこちらへ来る。

「……うん」

「心配だった……それに、一昨日知らない人のふりしてごめん。どうしたらいいか分からなかったから。でも僕は気づいてたよ」

前に立ってたのは知らない奏斗君だった。
遠目で見れば誰だかもう分からない。
派手で、想像が追いつかない。
それと同時に一昨日の記憶と結びつく。

「なんともないから。ありがとう」

「そっか……」

「ぇっ……?」

気づくと視界が半分に途切れる。
彼の腕が背中に回ってきた。

「……よかった」

何もできずいると

「あぁ、ごめん」

離れてった。

「ごめん。驚かせた」

「大丈夫」

笑いかけてやめた。そしてどこか分からない地面を見る。

「ちゃんとご飯食べた?」

「まだ」

「お昼は食べれる? よかったら行こ。近くにお店あったし」

「うん」

なんともなかったみたいだった。ただ久しぶりに会ってまだどの距離か分からないだけみたいに。
 連れてかれたのはうどん屋だった。

「なににする?」

「きつねの小」

「他は?」

「いらない」

彼がメニューを閉じて店員を呼んだ。
それから先に私の頼んだものが届く。お盆に乗った箸を手に取った。

「食べれなかったらもらうから」

そういう彼の顔はどう言えばいいか分からない。
私だけ告白を断ったあともあんなことしたし。
今の前にいる金髪の彼にどうしたらいいか分からなかった。

「いただきます」

奏斗君もうどんを頬張り始めた。

 お昼を済ませて駅まで少し歩いたとこだった。

「実はね、誰にも言わないけど本当はずっと笑真のこと気にしてたから」

「……うん」

とりあえず頷く。

「使ってたチャットもなんか見るだけで戻れたみたいでさ」

「え?」

それは昨日まで開かずのチャットだった。

「なんで?」

卒業式のあの告白。私が失敗したはずなのにその数日後奏斗君からメールが来た。

『今度、笑真の言ってた映画一緒に見に行こ』

最後の救いだったはずなのに私はそれも断った。だから思い返せばただ自分が悪者だという証拠になるだけで、開けなくなってた。
できれば奏斗君にも開いてほしくなかった。
これ以上傷つけたくなかったから。

「嫌じゃないの?」

「何が?」

「私が奏斗君を捨てたみたいなもんじゃん」

彼の脚が止まる。

「そんなことないよ。振られたのも気にしてないから」

「私はどうしたらいいか分からない」