婚約者は狼神!? 帝国の守護神の通訳として雇われた私、なぜか溺愛されてます!

「車は便利ですが、非常に危険でもあります。ぶつかったら簡単に人が死にますし、事故ではガソリンが漏れて爆発することもあります」
「爆発ですか!?」
 事故で死傷者が出るのは知っていたが、爆発は予想外だった。

「ガソリンはすごく引火しやすくて、ちょっとした火花でも大爆発ですよ。ですから事故を起こした車に近寄ってはなりません」

 ふだんはなにも考えずに乗っていたが、運転手は重大な責任を負っているのだな、と燈子は思う。教えてくれと安易に頼んでよかったのかと逡巡した。が、やっぱりいいですとも言えない。なにより運転してみたい好奇心が勝ってしまう。

 運転手が庭の広いところに車を移動させてくれたから、そこで席を変わってもらった。
 彼が言うとおりに手と足を動かすが、車はがくがく震えてエンストしてしまった。
 予想していたらしく、運転手は苦笑した。

「またエンジンかけるところから……?」
 燈子はうんざりした。

「それは私がやりましょう」
 運転手がエンジンをかけてくれて、また一緒に車の練習をする。
 何度も何度も挑戦し、ようやく少し動いたのだが。

「動いた!」
 喜んだ拍子にエンストしてしまった。

「そんな……」
「今日はこれまでにして、お休みなさっては」
「だけど」
 言いかけて、気が付く。
 自分が時間をとらせてしまって、彼の本来の仕事ができていないのではないだろうか。