婚約者は狼神!? 帝国の守護神の通訳として雇われた私、なぜか溺愛されてます!

「だ、だったら私は、あなたを守ります」
 対抗心のようなものがわいて、ついそう言っていた。
 彼はふっと笑う。

「相変わらず面白いことを言う」
「そんなことを言うなら結婚しません」
 燈子はむっとして背を向ける。その彼女を後ろからふわっと包むように彼が抱きしめ直す。

「すねるな。つれないことを言っても本心ではないことはわかっているぞ。俺にはお前が必要だ」
 ささやく声すらも甘くて、燈子は耳まで熱くなる。

「颯雅様……!?」
「お前がいないと人間になれないしな」
 茶化すように付け足された言葉に、燈子の熱はいっきに冷めると同時に得心がいった。
 必要って、本当に必要だからなんだ。

「私でお役に立つなら嬉しいです」
「お前しかいない」
 ささやきとともに彼の吐息がかかり、どきっとしたところをさらにぎゅっと抱きしめられる。
 まるで愛されているみたいだからやめてほしい。

 ここに来るまで、実の家族にすら邪魔者、厄介者として扱われてきた。
 彼は実用としてだとしても、必要としてくれている。それはすごくありがたい。
 彼に利用されてもなんの問題もない。自分だって彼を利用しようとした。お互い様だ。

 なのに、どうしてこんなに苦しいんだろう。
 答えは出ないまま、燈子は彼に気づかれないようにため息を飲み込んだ。