「命がけであの女を守っただの、まったくもって事実ではない」
一太刀で切り捨てたのだから颯雅には余裕だったのだろう。が、新聞では大切な彼女を守るために一命を賭して凶悪なあやかしと戦ったことになっている。その縁でいっきに仲を深め、今は結婚を待つばかり、と書かれていた。
「そのほうが大衆受けするからな……しかし面倒な。抗議は入れるが、訂正記事が載るかどうかはあやしい」
功之輔がぼやく。
朝食後、燈子が支度を終えて車に乗るべく庭で待っていると、颯雅が歩いてきた。
青い空の下、つかつかと歩いてきた彼は若葉の影が落ちる中、燈子に言う。
「結婚を早めよう」
「え?」
燈子は思わず彼を見た。
彼の顔は真剣そのもので、冗談ではないことはすぐにわかった。
「誤報を訂正するためにもそのほうがいい」
「で、ですけど」
燈子は目を泳がせた。
嫁ぐために来たのだし、自分と結婚したら子供を持たなくてもいいとかいろいろと言ってきたのに、いざ目の前にそれが現れると揺らいでしまう。
「今さら迷うのか? お前は結婚を熱望していたではないか」
「……颯雅様は結婚を嫌がっておいででした」
「過去のことだ」
言い切る颯雅に、燈子は唖然とした。
「お前はもう俺のものだ。絶対に手放すものか」
抱きしめられ、燈子はかーっと顔を赤くした。
「前にも言った。お前は俺が守る。安心して結婚しろ」
彼からは甘く優しいまなざしが注いでいる。半ば伏せた目をふちどる銀のまつげが妙になまめかしい。
一太刀で切り捨てたのだから颯雅には余裕だったのだろう。が、新聞では大切な彼女を守るために一命を賭して凶悪なあやかしと戦ったことになっている。その縁でいっきに仲を深め、今は結婚を待つばかり、と書かれていた。
「そのほうが大衆受けするからな……しかし面倒な。抗議は入れるが、訂正記事が載るかどうかはあやしい」
功之輔がぼやく。
朝食後、燈子が支度を終えて車に乗るべく庭で待っていると、颯雅が歩いてきた。
青い空の下、つかつかと歩いてきた彼は若葉の影が落ちる中、燈子に言う。
「結婚を早めよう」
「え?」
燈子は思わず彼を見た。
彼の顔は真剣そのもので、冗談ではないことはすぐにわかった。
「誤報を訂正するためにもそのほうがいい」
「で、ですけど」
燈子は目を泳がせた。
嫁ぐために来たのだし、自分と結婚したら子供を持たなくてもいいとかいろいろと言ってきたのに、いざ目の前にそれが現れると揺らいでしまう。
「今さら迷うのか? お前は結婚を熱望していたではないか」
「……颯雅様は結婚を嫌がっておいででした」
「過去のことだ」
言い切る颯雅に、燈子は唖然とした。
「お前はもう俺のものだ。絶対に手放すものか」
抱きしめられ、燈子はかーっと顔を赤くした。
「前にも言った。お前は俺が守る。安心して結婚しろ」
彼からは甘く優しいまなざしが注いでいる。半ば伏せた目をふちどる銀のまつげが妙になまめかしい。



