婚約者は狼神!? 帝国の守護神の通訳として雇われた私、なぜか溺愛されてます!

「そんな稚拙な虚言、指摘も面倒だから放置されたんだろう」
 冷たく論破され、真世はわなわなと震える。
「燈子は俺が守る。これからはお前なぞに彼女を傷つけさせない。だから燈子」
 名を呼ばれて彼を見ると、不敵な、だけどどこか甘いまなざしがあった。

「安心して俺に甘えろ」
 肩を抱き寄せられ、燈子は硬直した。
 颯雅は油断なく真世を睨んでいる。

「俺の妻となるのは彼女ひとり。ほかの誰もありえない。駐屯所では公表されている。だからお前は不審者として逮捕されたんだ。現実がわかったらさっさとゴミをもって帰れ」
「ゴミだなんて! せっかく一流料亭に作らせたのに!」

「颯雅様、言い過ぎです」
 燈子がとがめると、颯雅の口元がふっと緩んだ。

「お前はまったく優しいな」
 言いながら、髪に口づけられる。
 かーっと頬をほてらせると、颯雅の黄金の目が意地悪そうに細まる。

「今更照れるのか。キスなど毎日しているだろうが」
「そ、それは……!」
 彼が人間の姿をとるためであって、しかし言うわけにもいかずに燈子は口ごもる。

「破廉恥! 恥知らず!」
「お前に言われてもな」
 颯雅は真世への嘲笑を口元に刻む。
 恥ずかしくなった燈子は強引に颯雅から離れるとテーブルに近づいた。

「すみません、こちらは私がいただきますから」
「あんたなんかにあげないわよ!」
 真世が重箱を薙ぎ払い、床に重箱と料理が散らばった。