「本当の縁談相手は私、なのに姉が奪ったんです。だから婚約者は私です」
真世は胸に手を当ててにんまりと笑っている。
燈子は呆然とした。どうしてこんなに都合よく記憶を書き換えられるのか。
颯雅は頬をひきつらせたまま、やってられないとばかりにこめかみに手を当てている。
「お前には病院が必要だな」
「は?」
真世は不審な顔で彼を見る。
「俺が覚えてないとでも思うのか。以前は犬扱い、見合いの場では気配を殺して存在しないかのごとくふるまっていた」
言われて、燈子は思い出す。あのとき颯雅と話が通じることに驚いて気づかなかったが、確かに真世はまったく存在感を出さずに黙っていた。
「あれは、燈子に命令されて……私いつも虐待されているんです」
真世は哀れを誘う表情で颯雅に訴えかける。
かちんと来た燈子だが、言葉は喉から先に出てこない。反論したら殴られる、それがしみついて我慢する癖がついているから。
「そんな程度の低い嘘で騙せると思うのか。見くびられたものだ」
颯雅に睨まれ、真世はびくっと震える。
「調べはついている。お前とお前の母はかなりの虐待を燈子に加えていたようだな。女学校でも嘘を並べ立てて燈子を悪者にでっちあげる」
燈子は驚いて彼を見た。いつの間に調べたのだろう。
「ほ、本当に意地悪をされたのよ! 宿題を取り上げられて、やらずに返してきたり! みんなにはいっつも同情されたのよ!」
真世は悲壮な様子を見せるが。
真世は胸に手を当ててにんまりと笑っている。
燈子は呆然とした。どうしてこんなに都合よく記憶を書き換えられるのか。
颯雅は頬をひきつらせたまま、やってられないとばかりにこめかみに手を当てている。
「お前には病院が必要だな」
「は?」
真世は不審な顔で彼を見る。
「俺が覚えてないとでも思うのか。以前は犬扱い、見合いの場では気配を殺して存在しないかのごとくふるまっていた」
言われて、燈子は思い出す。あのとき颯雅と話が通じることに驚いて気づかなかったが、確かに真世はまったく存在感を出さずに黙っていた。
「あれは、燈子に命令されて……私いつも虐待されているんです」
真世は哀れを誘う表情で颯雅に訴えかける。
かちんと来た燈子だが、言葉は喉から先に出てこない。反論したら殴られる、それがしみついて我慢する癖がついているから。
「そんな程度の低い嘘で騙せると思うのか。見くびられたものだ」
颯雅に睨まれ、真世はびくっと震える。
「調べはついている。お前とお前の母はかなりの虐待を燈子に加えていたようだな。女学校でも嘘を並べ立てて燈子を悪者にでっちあげる」
燈子は驚いて彼を見た。いつの間に調べたのだろう。
「ほ、本当に意地悪をされたのよ! 宿題を取り上げられて、やらずに返してきたり! みんなにはいっつも同情されたのよ!」
真世は悲壮な様子を見せるが。



