「せっかくのデートが台無しだ。また日を改めて出かけよう」
「でも、充分に楽しゅうございました」
百貨店はいろんなものがあってあれもこれも輝いて見えた。中でもいっとう輝いていたのは颯雅だが、言えるわけもなく胸にしまう
「無理するなよ」
目を細めた颯雅にどきっとして燈子は目をそらす。
「ありがとうございます」
それ以上は言えなくて、だから家まで颯雅が話しかけることに、はい、いいえくらいしか答えられなかった。
***
真世は翌日、お気に入りの着物を着て、年かさの女中を引き連れて颯雅の勤める駐屯所を訪れた。女中はその手に大きな重箱を携えている。
駐屯所に来るのは初めてで、到着した真世はまじまじと見た。無骨な門の前にはふたりのいかつい警備兵が立っている。
そのうちのひとりに女中が話しかけた。
「綾月颯雅様の婚約者、大鶴真世様がお弁当を届けに参りました」
「は?」
男性は怪訝に眉を寄せる。
真世はいらっとした。
「でも、充分に楽しゅうございました」
百貨店はいろんなものがあってあれもこれも輝いて見えた。中でもいっとう輝いていたのは颯雅だが、言えるわけもなく胸にしまう
「無理するなよ」
目を細めた颯雅にどきっとして燈子は目をそらす。
「ありがとうございます」
それ以上は言えなくて、だから家まで颯雅が話しかけることに、はい、いいえくらいしか答えられなかった。
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真世は翌日、お気に入りの着物を着て、年かさの女中を引き連れて颯雅の勤める駐屯所を訪れた。女中はその手に大きな重箱を携えている。
駐屯所に来るのは初めてで、到着した真世はまじまじと見た。無骨な門の前にはふたりのいかつい警備兵が立っている。
そのうちのひとりに女中が話しかけた。
「綾月颯雅様の婚約者、大鶴真世様がお弁当を届けに参りました」
「は?」
男性は怪訝に眉を寄せる。
真世はいらっとした。



