婚約者は狼神!? 帝国の守護神の通訳として雇われた私、なぜか溺愛されてます!

「いいんですか!?」
「写真の覚えがないということは、お手元にないのだろうなと思っておりましたから」

「ありがとうございます!!」
 燈子は深々とお辞儀をして、颯雅もまた無言で頭を下げた。



 その後はレストランに寄って弁当を受け取ってから店を出て、待っていた車に戻る。
 運転手は去り、運転席に颯雅が乗ったから燈子は驚いた。

「いつの間に運転を……。どちらへ行くのですか?」
「着いてからのお楽しみだ」
 颯雅は上機嫌で、だから燈子は首をかしげる。

 到着したのは緑の丘。
 事前に約束してあったのだろう、車を止めた颯雅は燈子とともに降りると勝手知ったる様子で中へ入って行く。

 ついていった燈子は、あっと声を上げた。
「りんごの木がこんなに!」
 青空の下、緑の茂る木々に薄紅が差した白い花が咲き乱れている。甘酸っぱい香りはまるでりんごそのもの。

「りんごの果樹園だ。梅や桜と違って葉がある状態で咲くのだな」
 颯雅は感心したように見入っている。

 斜面に植えられているので、りんご園の中は歩きにくかった。颯雅の助けを借りて歩き、平らな場所を探し、ふたりで敷物を広げてその上に座る。

 颯雅が注文しておいてくれたお弁当を広げて一緒にいただく。料理はどれもおいしくて、お茶は喉に心地いい。