「愛する妻に先立たれ、形見を捨てられ、娘に見捨てられ、もうひとりの娘は犯罪者だ」
「はあ!?」
麻子が怒りと驚愕の混じった声をあげる。
「あなた、好きでもない女と結婚させられて不幸だって言ってたのに、嘘だったの!?」
「え、いや、ちが……」
「結婚したとき、あの女のせいで会社が傾いたっていうから芸者で稼いだお金を渡したのよ! あれも嘘なの!?」
「そ、それは……」
「夫婦喧嘩はよそでやっていただきたい」
颯雅が冷たく言い放ち、正雄は逃げるように歩き去る。
「待ちなさいよ!」
麻子が怒声とともに正雄を追いかける。
燈子はあきれとともに激しい憤りを抱いた。
見捨てたのは父のくせに、自分が不幸にひたるために母を利用する。もう二度と会いたくない。
感情を持て余して震えていると、颯雅がぽんと頭に手を置いた。
「悪いことは忘れろ。これからは俺が幸せにする」
「……だったら私は颯雅様を幸せにします」
「その意気だ」
颯雅はやわらかく微笑する。
だから燈子もにっこりと笑みを返す。目じりからこぼれたしずくは床に落ちてはじけ、きらきらと輝いた。
「はあ!?」
麻子が怒りと驚愕の混じった声をあげる。
「あなた、好きでもない女と結婚させられて不幸だって言ってたのに、嘘だったの!?」
「え、いや、ちが……」
「結婚したとき、あの女のせいで会社が傾いたっていうから芸者で稼いだお金を渡したのよ! あれも嘘なの!?」
「そ、それは……」
「夫婦喧嘩はよそでやっていただきたい」
颯雅が冷たく言い放ち、正雄は逃げるように歩き去る。
「待ちなさいよ!」
麻子が怒声とともに正雄を追いかける。
燈子はあきれとともに激しい憤りを抱いた。
見捨てたのは父のくせに、自分が不幸にひたるために母を利用する。もう二度と会いたくない。
感情を持て余して震えていると、颯雅がぽんと頭に手を置いた。
「悪いことは忘れろ。これからは俺が幸せにする」
「……だったら私は颯雅様を幸せにします」
「その意気だ」
颯雅はやわらかく微笑する。
だから燈子もにっこりと笑みを返す。目じりからこぼれたしずくは床に落ちてはじけ、きらきらと輝いた。



