婚約者は狼神!? 帝国の守護神の通訳として雇われた私、なぜか溺愛されてます!

「現場には東日新報の記者の遺体もあった。この男も病狗に協力していたようだな」
 燈子の胸がぎゅっと痛んだ。いくら嫌いな人間であっても殺されたと聞いて平静ではいられない。
 こぶしを胸に当ててうつむくと、隣にいた颯雅がこっそりと背を撫でてくれた。

「東日新報は積極的に誤報道を繰り返していたため、当局の捜査が入る」
 燈子はほっとした。嘘を繰り返して世の中を先導するなんて、許されていいわけがない。

「綾月大尉に殺されそうになったと虚偽の証言をした愚か者についても処分を検討中だ」
 尚吾郎にぬかりはないようだ。

「それから、あきつしま新聞の鷹宮氏から取材の申し込みがあった。大鶴さんにはすでに許可を得ていると聞いたが」
「はい、お約束しました」
「いつの間に」
 颯雅が軽く驚く。

「颯雅様の濡れ衣を晴らしたくて、協力してもらうかわりに取材を受けるとお約束したんです」
「あれは本当だったのか」
 颯雅は渋面を作った。
 燈子の行動は不実ゆえではなかったと理解してもらえたようだ。

「取材についてはこちらで日程を組む。彼は綾月大尉の自作自演報道の際、公平な記事を書いてくれていた。報いねばならん」
 廉次は誠実なのだな、と燈子は改めて思った。会ったときの印象通りだ。

「綾月大尉とシロマツ号は後日、表彰を行う。大鶴さんが破損した研究所の軍用車については」
 尚吾郎の厳しい視線に、燈子の背がひやりと冷えた。

「不問とする。民を悩ませていた病狗を駆除できた功績のほうが大きい。綾月大尉、シロマツ号と同様に表彰する」
 燈子がほーっと息をつくと、尚吾郎がにやりと笑った。
 わざとどきっとする言い方をしたんだ、と気づいてちょっとむっとした。司令は意外と人が悪い。