婚約者は狼神!? 帝国の守護神の通訳として雇われた私、なぜか溺愛されてます!

「お得意の嘘で車を壊したのをあやかしのせいにすればよいものを」
「それは、嘘をついちゃダメなところだと思いましたので」

「根っこは正直なのだな」
 颯雅は愛しいものに触れるように燈子の髪をすくう。

「俺が守るはずが、守られた。有言実行するとはすごい女だ」
「あんまり言わないでください」
 颯雅がてらいもなく言うから燈子のほうが羞恥心を刺激されてしまう。

「恥じらうお前もかわいいな。出会ったあのとき、美しい髪を切られなくてよかった」
 手にしていた彼女の髪に口づけ、彼は言う。

 もうダメだ、と燈子は口をつぐんでそっぽを向いた。
 真っ赤になった燈子に、颯雅はまたふふっと笑いをもらした。



 翌日は号外が発行され、街はずれの森での病狗との格闘や車の炎上が報道された。
 燈子と颯雅は駐屯所に出勤し、警察も同席で軍の調査担当に詳しい事情を聴取された。

 聴取後は尚吾郎に呼ばれ、指令室に行く。
 デスク越しに向かい会うと、彼は言った。

「病狗の駆除、ご苦労だった」
「慰労、感謝いたします」
 深々と頭を下げる颯雅に続き、燈子も頭を下げた。

「明日には正式に自作自演の否定報道が出る。それから」
 と、尚吾郎はちらりと燈子を見る。

「大鶴真世は逮捕される。病狗に協力した疑惑だ。今のところ一貫して脅された被害者だと主張しているが、確認中だ」
 燈子は返事ができなかった。