婚約者は狼神!? 帝国の守護神の通訳として雇われた私、なぜか溺愛されてます!

「この子たちの言葉がわかればいいのに」
 犬たちの言葉がわからないのが残念で仕方がない。
 わかるのは、もう燈子はひとりではないということ、それだけだった。



 燈子と颯雅はその後、駆け付けた軍の兵士たちに救助された。
 燃えた車は消火され、病狗の死亡も確認された。

 改めて見る戦場はあやかしの犬の死骸だらけで、颯雅と軍用犬たちの奮闘がよくわかる惨状だった。この処理をする軍の部隊も大変だろう。

 犬たちはあとで迎えに来る軍用車で搬送されることになり、燈子と颯雅は軍に付属する病院に送られ、当直の医師による診察を受けた。
 ふたりとも奇跡的に軽傷だった。颯雅の頭部の裂傷は数針を縫ったものの、すぐに治るだろうとのことだった。

 治療後、自宅へ送られる車の中で、颯雅はふうっと息を吐いた。
「お前が車を運転できるとは知らなかった」
「きちんとできるわけではないんです。習ったばっかりで」
 燈子は恥ずかしそうにうつむく。

 あんな急発進になったのは加減がわかってなかったからだ。だからこそ病狗の不意をつけたが、間違って颯雅を巻き込んでいたらと思うとぞっとする。
燈子は、ふと真顔になって颯雅を見た。

「ですけど車を壊してしまいました。弁償にはいくらかかるのでしょう」
 青ざめる燈子に、彼はふっと笑う。

「お前は本当に予想外だ。あやかしを倒す豪胆さがあるとかと思えば、なんと肝の小さいことを言う」
「だって、家が一軒買えるくらいなのでしょう?」

「それくらい、俺がいくらでも出す」
 燈子は目を丸くした。そんな大金を軽々と出すと言うなんて。