婚約者は狼神!? 帝国の守護神の通訳として雇われた私、なぜか溺愛されてます!

「犬を道具として利用するなど、許せん!」
 病狗はぎろりと颯雅をにらみつける。

「お前が言うか」
 颯雅は怒りを込めてにらみ返す。

「本当に犬が――仲間が大事ならこいつらに攻撃させず、自分で戦っただろうが」
 言いながら、折れた剣を構える。

「わかったふうな口をきくな!」
 病狗がとびかかった刹那、颯雅は燈子の腰を片手で抱いて飛んだ。同時に剣を車体にたたきつけ、火花を散らす。
 直後、爆発が起きた。

 燈子は颯雅ともども吹き飛ばされ、地面にたたきつけられる。
 全身に痛みが走り、だけど、自分を守るように抱きしめる存在に気が付く。

「颯雅様!」
 燈子は声を上げる。
 颯雅は痛みにうめきながらも立ち上がった。額から血がだらりと垂れて、燈子は焦る。

「ダメです、お怪我が」
「言ってる場合か」
 颯雅は険しい目を車に向ける。
 車は炎に包まれ、病狗もまた燃えている。

「う、おお……おのれ……」
「まだ動くか」
 病狗も吹き飛ばされたはずだった。その衝撃は颯雅も身をもってわかっている。