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シロマツは犬舎に向かってひた走った。
犬舎の扉にはかんぬきがかかっていたが、シロマツは器用にそれを鼻先で押してはずす。
中で寝ていた犬たちは物音ですぐに起きた。
シロマツは中に入り、個室にかかっているフック状のひっかけ鍵をはずしていく。
「わん、わん!」
シロマツが吠えると、犬たちはすぐに個室を出た。
駆けだしたシロマツを犬たちが追い、一斉に門扉の下の隙間から抜け出す。
それを見た当直の兵は唖然とし、それから慌てて知らせに走った。
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燈子は痛む足を必死に動かしていた。
逃げきれないのは明白。
息が切れ、吐き気がする。なんどもつまずいて、ようやく歩いている程度だ。
病狗は息を切らすどころか、あやかしの犬たちを従えてゆうゆうとついてきている。
自分が立ち止まったとき。それが最期のときだ。
だから必死に歩く。
もし真世が颯雅に伝えてくれても、シロマツが駐屯所に到着したとしても、彼らはもう自分の位置を知ることはできないだろう。
だけど、それでも。
燈子は歩く。
少しでも街から引き離しておきたい。



