婚約者は狼神!? 帝国の守護神の通訳として雇われた私、なぜか溺愛されてます!


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 シロマツは犬舎に向かってひた走った。
 犬舎の扉にはかんぬきがかかっていたが、シロマツは器用にそれを鼻先で押してはずす。

 中で寝ていた犬たちは物音ですぐに起きた。
 シロマツは中に入り、個室にかかっているフック状のひっかけ鍵をはずしていく。

「わん、わん!」
 シロマツが吠えると、犬たちはすぐに個室を出た。
 駆けだしたシロマツを犬たちが追い、一斉に門扉の下の隙間から抜け出す。
 それを見た当直の兵は唖然とし、それから慌てて知らせに走った。

***

 燈子は痛む足を必死に動かしていた。
 逃げきれないのは明白。
 息が切れ、吐き気がする。なんどもつまずいて、ようやく歩いている程度だ。

 病狗は息を切らすどころか、あやかしの犬たちを従えてゆうゆうとついてきている。

 自分が立ち止まったとき。それが最期のときだ。
 だから必死に歩く。

 もし真世が颯雅に伝えてくれても、シロマツが駐屯所に到着したとしても、彼らはもう自分の位置を知ることはできないだろう。

 だけど、それでも。
 燈子は歩く。
 少しでも街から引き離しておきたい。