婚約者は狼神!? 帝国の守護神の通訳として雇われた私、なぜか溺愛されてます!

「なんで扉が……颯雅様?」
「次女はどこだ」

「真世ですか? 部屋で寝てますが」
「案内しろ」
「しかし」
 こんな夜中に若い女性の部屋に案内しろとは失礼どころの騒ぎではない。

「燈子がいなくなった。次女が呼び出してからだ。早く案内しろ!」
 颯雅の剣幕に、正雄は慌てて歩き出す。
 靴を履いたままの颯雅が続き、ここです、と言われた部屋のふすまをがらりと開ける。

 先に入った正雄が部屋の電気をつけるが、真世は起きない。
 すやすやと眠る彼女の布団をはぐと、ううん、と真世が声を漏らした。
 蹴とばしてやりたいのをこらえ、颯雅は真世の襟首をつかむ。

「起きろ。燈子はどこだ」
 真世は顔をしかめ、それからうっすらと目を開けた。
 目の前に颯雅がいるとわかると驚いて硬直する。

「な、なんでここにいるの!?」
「燈子はどこだ」

「どこって」
「お前が呼びだしたのだろうが」
 刺すような威圧に、真世はびくっと震える。
「よ、夜中に女性の部屋に来て、ひどいわ」
「言わない気か」

 狼になれればこんな女に頼らず匂いで燈子をたどったものを。
 颯雅は突き飛ばすように手を放し、すらりとサーベルを抜いた。白刃がきらりと光る。

「言わねば殺す」
 いら立ちで凄みが加わった気迫に、真世は押しつぶされそうにおののいた。