婚約者は狼神!? 帝国の守護神の通訳として雇われた私、なぜか溺愛されてます!

 途中、颯雅は装備品研究室からサーベルを勝手に持ちだした。開発品と比較するための普通のサーベルだ。

 あやかしとの遭遇で二度も武器が手元にない失態を犯した。三度目はあってはならないと常に短剣を懐に忍ばせているが、やはりサーベルのほうが間合いを長くとれる分、使いやすい。

 倉庫を開けると手順に従って車のエンジンをかけ、運転席に乗り込んで走らせる。
 待ち合わせとされた場所には誰もおらず、すぐに大鶴の家に向かった。
 門前の警備兵は、サーベルを手に車から降りた颯雅に敬礼をして迎える。

「次女は家にいるか」
「はい。先ほど戻りまして」

「戻った? 出かけたということか」
「はい」
 答える警備兵の声には緊張がある。叱責されると委縮しているようだ。

「あやかしの犬が出たおりに隙をついて外に出たようでして。戻ってからはすぐに屋敷に入ったので聴取もできていません」
 気まずそうに、しかしはっきりと答える兵士。

「ほ、報告は明日きちんとするつもりで……」
 言い訳する兵士を無視し、颯雅は閉じられた門に手をかけた。錠はかかっておらず、すんなりと開く。

 中にもまた警備兵がいて、颯雅に敬礼をした。
 彼はかまわずに玄関の引き戸を蹴破った。

「聞きたいことがある! 急ぎだ!」
 怒鳴り声に現れたのは眠たげな正雄だった。