「親父には言ってあるのか? 疑惑の妹がかかわっているんだ、軍を動かしてくれるだろう」
『それが、疑惑程度や私情では軍を動かせないとおっしゃって。颯雅様もわかっているはずだ、と』
颯雅は思わず舌打ちした。父は軍人として厳格だ。こんなときにそれが裏目に出るなんて。
「再度、親父に言ってみてくれ。俺も動く」
待ち合わせ場所に今から行って間に合うのか。
颯雅は事務室にいた研究所員に険しい顔を向けた。
「車と倉庫の鍵を貸してくれ」
「はい?」
「貸せと言っている!」
「は、はい!」
颯雅の剣幕に、彼は事務机から鍵を取り出して渡す。
「緊急事態だ。室松司令に軍を街はずれに向かわせるように連絡してくれ」
「緊急事態とは、具体的には何でしょう」
「さっさと連絡しろ!」
「はいぃ!」
彼は慌てて電話に駆けていった。
颯雅はすぐさま部屋を飛び出す。
『緊急事態』だけで司令が動いてくれるかわからない。真世の嫌がらせで終われば颯雅は虚偽情報で軍を動かそうとした犯罪者となるだろう。
だが、かまうものか。
万が一、燈子が危機にいるならば。
燈子を救えるならば。
この命だって惜しくない。
『それが、疑惑程度や私情では軍を動かせないとおっしゃって。颯雅様もわかっているはずだ、と』
颯雅は思わず舌打ちした。父は軍人として厳格だ。こんなときにそれが裏目に出るなんて。
「再度、親父に言ってみてくれ。俺も動く」
待ち合わせ場所に今から行って間に合うのか。
颯雅は事務室にいた研究所員に険しい顔を向けた。
「車と倉庫の鍵を貸してくれ」
「はい?」
「貸せと言っている!」
「は、はい!」
颯雅の剣幕に、彼は事務机から鍵を取り出して渡す。
「緊急事態だ。室松司令に軍を街はずれに向かわせるように連絡してくれ」
「緊急事態とは、具体的には何でしょう」
「さっさと連絡しろ!」
「はいぃ!」
彼は慌てて電話に駆けていった。
颯雅はすぐさま部屋を飛び出す。
『緊急事態』だけで司令が動いてくれるかわからない。真世の嫌がらせで終われば颯雅は虚偽情報で軍を動かそうとした犯罪者となるだろう。
だが、かまうものか。
万が一、燈子が危機にいるならば。
燈子を救えるならば。
この命だって惜しくない。



