婚約者は狼神!? 帝国の守護神の通訳として雇われた私、なぜか溺愛されてます!

 ゴシップには腹が立ったが、結婚を早められそうで一時は浮き立った。
 問題はその後だ。
 渦巻くのは、昨今の報道への憤り。

 入隊した当初、新聞に批判された。獣を入隊させるのはいかがなものか、働くなど到底無理だろう、と。

 次に、帝国の守護神と祭り上げられた。
 今度は自作自演の詐欺師と来た。
 なんと無責任で放埓(ほうらつ)だろうか。

 記者は取材を通じて颯雅の研鑽と実績を知っているはずだ。
 なのに、軍ぐるみで捏造したかのように報道する新聞社まである。

 人をなんだと思っているのか。
 俺の努力はなんだったというのか。
 こんなに簡単に手のひらを反すのか。

 研究所では、そういった憤りが狼に戻れなくしているのでは、とも言われた。
 それはあるかもしれない。

 だが、果たしてそれだけなのか。
 自分が燈子とともにありたいと願ったせいではないのか。

 国を守る、そのために命を使うと決めたのに。
 母に誇れる自分になると決めたのに。

 なのに、今では燈子がなによりも大切な存在となっている。

 ほかの男と一緒にいたと知っただけで全身が焼き尽くされそうだった。彼女の幸せのために身を引いたほうがいいのかと葛藤もしたが、そこまで潔くなれそうもない。

 このままでは、初めての恋に引きずられて使命を果たせなくなるのでは。
 そうして、守るはずの国民から、今は非難を受けている。