これを使ってなにかできないだろうか。
犬は臭いに敏感だという。鼻に噴きかけたらどうなるだろう。だが、その程度で逃げられる状況が作れるとは思えない。敵の全部にちょうどよく噴きかけられるわけもない。
結局、使う間もないままに小屋に着き、残った袖のたもとに香水瓶を入れて隠した。
小屋にあった麻縄で両手を縛られ、床に転がされる。
「おとなしくしていろ、そしたら一息に殺してやる」
「病狗様はお優しい」
追従する士郎に、燈子は侮蔑の目を向けた。
***
燈子を閉じ込めた士郎は病狗とともに小屋を出た。
「あの女はあの男を連れてくると思うか?」
「大丈夫だと思いますよ」
真世は見るからに弱そうで、自分を守るために目標の女を連れてきた。今回も颯雅を連れてくるだろう。
そうして、と士郎は病狗を見る。
颯雅は病狗を殺してくれるだろう。
ゴシップで名を売れたし、もう充分だ。いつ殺されるかとひやひやしながら従うのは終わりにしたい。
病狗が燈子を殺した後に颯雅が病狗を殺してくれれば、縁切りと同時に口封じもできていい。俺はあいつが活躍するスクープだけ手に入れて成功者だ。もし万一燈子が助かっても、颯雅が来るまでの時間稼ぎをした、怖いながらも言いなりのふりをして最大限の努力はしたと言い訳ができる。
犬は臭いに敏感だという。鼻に噴きかけたらどうなるだろう。だが、その程度で逃げられる状況が作れるとは思えない。敵の全部にちょうどよく噴きかけられるわけもない。
結局、使う間もないままに小屋に着き、残った袖のたもとに香水瓶を入れて隠した。
小屋にあった麻縄で両手を縛られ、床に転がされる。
「おとなしくしていろ、そしたら一息に殺してやる」
「病狗様はお優しい」
追従する士郎に、燈子は侮蔑の目を向けた。
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燈子を閉じ込めた士郎は病狗とともに小屋を出た。
「あの女はあの男を連れてくると思うか?」
「大丈夫だと思いますよ」
真世は見るからに弱そうで、自分を守るために目標の女を連れてきた。今回も颯雅を連れてくるだろう。
そうして、と士郎は病狗を見る。
颯雅は病狗を殺してくれるだろう。
ゴシップで名を売れたし、もう充分だ。いつ殺されるかとひやひやしながら従うのは終わりにしたい。
病狗が燈子を殺した後に颯雅が病狗を殺してくれれば、縁切りと同時に口封じもできていい。俺はあいつが活躍するスクープだけ手に入れて成功者だ。もし万一燈子が助かっても、颯雅が来るまでの時間稼ぎをした、怖いながらも言いなりのふりをして最大限の努力はしたと言い訳ができる。



