「どうせなら綾月の目の前で殺してやったらいかがですか」
「ほう?」
面白がるように病狗が口角を上げる。
綾月の名が出たことに、燈子はふたりを注視する。
「そのほうがあの男をもっと苦しめられますよ。目の前で婚約者が殺されるなど、なにものにも耐えがたい苦痛でしょう」
「お前は本当に下劣だな」
くくく、と病狗は笑う。
へへへ、とへつらって笑う士郎。
燈子はぎりっと士郎を睨んだ。
「あなたが病狗と組んで変なゴシップを流したのね」
「世間の思い込みに疑問を呈し、求められたものを提供しただけだ。人々は娯楽に飢えている。他人の不幸は蜜の味。それだけだ」
にたにたと笑う彼は本気でそう思っているようだ。
「人の命を犠牲にしておいて!」
この男が病狗を軍に通報していれば襲われずに済んだ人もいるだろうに。
「なんのことかな」
平然と士郎は答え、ふん、と病狗が鼻をならす。
「人間なんぞあやかしの餌にすぎん。人とて獣を食らうだろう。我らもただ生きるために必死なだけだ。人だけが特別だというのなら傲慢だ」
言われて、燈子は言葉につまる。
自分だって動物の肉を食べる。動物だって殺されたくないだろう。だけどその命を摘んで生きているのだと言われればその通りだ。
「ほう?」
面白がるように病狗が口角を上げる。
綾月の名が出たことに、燈子はふたりを注視する。
「そのほうがあの男をもっと苦しめられますよ。目の前で婚約者が殺されるなど、なにものにも耐えがたい苦痛でしょう」
「お前は本当に下劣だな」
くくく、と病狗は笑う。
へへへ、とへつらって笑う士郎。
燈子はぎりっと士郎を睨んだ。
「あなたが病狗と組んで変なゴシップを流したのね」
「世間の思い込みに疑問を呈し、求められたものを提供しただけだ。人々は娯楽に飢えている。他人の不幸は蜜の味。それだけだ」
にたにたと笑う彼は本気でそう思っているようだ。
「人の命を犠牲にしておいて!」
この男が病狗を軍に通報していれば襲われずに済んだ人もいるだろうに。
「なんのことかな」
平然と士郎は答え、ふん、と病狗が鼻をならす。
「人間なんぞあやかしの餌にすぎん。人とて獣を食らうだろう。我らもただ生きるために必死なだけだ。人だけが特別だというのなら傲慢だ」
言われて、燈子は言葉につまる。
自分だって動物の肉を食べる。動物だって殺されたくないだろう。だけどその命を摘んで生きているのだと言われればその通りだ。



