婚約者は狼神!? 帝国の守護神の通訳として雇われた私、なぜか溺愛されてます!

『今夜十二時、地図の場所に来なさい。誰にも言わないこと。言えば殺されるわよ。来たら木を切らずにおいてあげる』
 文章とともに、街の端にある森の手前が指定されている。空き家が多くあやかしが出ると言われている場所だ。

「どういうこと……?」
 怪しすぎる。
 会いたがって手紙をよこしていたのも、また嫌がらせだろうか。燈子があやかしに襲われればいいと?

 ありうる、と燈子はため息をつく。
 もうこんな嫌がらせは本当にやめてほしい。嫌いならもう二度と会わなければいいのに。こちらはそれどころではないのだ。

 あやかしが出ると言われる場所を指定するところが悪質すぎる。襲われて殺されればいいと言っているかのようだ。

 だけど、と手紙を見て思う。
 もし本当に会うための呼び出しなら?

 真世から話を聞きたいと思っていた。こんな街はずれの辺鄙なところへの呼び出しだが、ふたりっきりで話すにはちょうどいいのかもしれない。

 真世の家だと警備の兵士がいて、見られたら颯雅にまで伝わる可能性がある。
 今日の訪問も伝わるかもしれないが、颯雅に伝わってもとがめられるのはきっと明日になってから。今夜ならなんとかなりそうだ。

 廉次からはなにかあれば新聞社に電話をするように言われている。が、料金は高いのだしこんなことで電話をしていいとは思えない。待ちぼうけになったら彼に申し訳ないし、むしろその公算が高い。もし本当にあやかしが出たら彼まで巻き添えになる可能性もあり、そんな目には遭わせられない。

 だから、ひとりでいくことにした。