「大事なのは人間の姿にできるからでしょ。それができれば私でなくてもよかったんだわ。人の姿になった今は私なんて必要ないじゃない」
「違う!」
颯雅は怒鳴る。
「お前だから大事なんだ。お前が好きだから――!」
燈子は苦々しく彼を見た。
よりによって、こんなときに。口論の最中に言われても信じられない。売り言葉に買い言葉の、勢いで言っただけだ。
実際、彼は気まずそうに目をそらしている。決して照れているからではない。失敗した、という気配だけが漂っている。
「もし病狗に本当の婚約者がお前だと知られたらお前が狙われる。自重しろ」
低く唸るように続けられた言葉に燈子は愕然とした。
「真世様を囮にしてるの?」
颯雅は顔をしかめた。失言だった、と顔に書いてあるも同然だ。
「最低。そんな人だとは思わなかった」
そんなふうに他者を犠牲にして守られるなんて嬉しくない。それがたとえ大嫌いな人だったとしても。
「なんとでも言え」
颯雅は吐き捨てる。こんなやけになっている彼を見るのは初めてだ。
「俺はまた研究所に行かなくてはならない。お前はもう家から出るな」
「横暴だわ」
「お前は俺の婚約者だ。忘れるな」
わきまえろ、命令を聞け、逆らうな、そんな言い方で言われて納得できるわけがない。
だが。
「違う!」
颯雅は怒鳴る。
「お前だから大事なんだ。お前が好きだから――!」
燈子は苦々しく彼を見た。
よりによって、こんなときに。口論の最中に言われても信じられない。売り言葉に買い言葉の、勢いで言っただけだ。
実際、彼は気まずそうに目をそらしている。決して照れているからではない。失敗した、という気配だけが漂っている。
「もし病狗に本当の婚約者がお前だと知られたらお前が狙われる。自重しろ」
低く唸るように続けられた言葉に燈子は愕然とした。
「真世様を囮にしてるの?」
颯雅は顔をしかめた。失言だった、と顔に書いてあるも同然だ。
「最低。そんな人だとは思わなかった」
そんなふうに他者を犠牲にして守られるなんて嬉しくない。それがたとえ大嫌いな人だったとしても。
「なんとでも言え」
颯雅は吐き捨てる。こんなやけになっている彼を見るのは初めてだ。
「俺はまた研究所に行かなくてはならない。お前はもう家から出るな」
「横暴だわ」
「お前は俺の婚約者だ。忘れるな」
わきまえろ、命令を聞け、逆らうな、そんな言い方で言われて納得できるわけがない。
だが。



