婚約者は狼神!? 帝国の守護神の通訳として雇われた私、なぜか溺愛されてます!

「昨日も今日も外出して帰りが遅いとスエさんから聞いた。急におかしいだろ」
 どうやって知ったのか。電話を使ったのだろうか。通話料金はすごく高いと聞いているのだが。

「閉じこもっているのが嫌で散歩に行きました」
「そんなに長時間? シロマツを置いて、か?」
 言葉につまって目をそらすと、シロマツがさみしそうに燈子を見上げる。

「実家付近にも行っただろう」
「どうしてそれを」

「あの女の警備から報告があった。男と一緒だったと。誰なんだ」
「誰って……」
 言い淀んだ燈子に、颯雅が心配そうに重ねて尋ねる。

「あの女になにか言われたのか?」
「真世様に? どうしてですか?」
 燈子はきょとんとした。

「スエさんから聞いた。何度もあの女から使いが来て燈子を実家に呼ぼうとしていると。ろくでもないことを考えているのだろう。スエさんが断ってくれたが、あまりにしつこいので心配だと俺に連絡が来た。あの男もあの女の使いか?」
「使いではないです」

 そんなことになっているとは思いもしなかった。スエが燈子に言わなかったのは気遣いだろう。スエもまた案じてくれている。家族にすら疎まれた自分を。

 胸が熱くなってくる。なおさら颯雅の無実を晴らしたくてたまらない。
 真世が自分に会いたがっているのは好都合だ。廉次が一緒ならば新しい話を聞けるかもしれない。

「なにを考えている?」
「いえ、なにも」
 颯雅の無実を晴らす、それ以外のことは。
 だからとっさに否定したのだが。