婚約者は狼神!? 帝国の守護神の通訳として雇われた私、なぜか溺愛されてます!

 宣言通り、颯雅は帰ってこなかった。
 燈子はスエに断って翌日も出かけ、廉次と会う。

 証拠を探すと決めたのはいいものの、どうしたらいいのかわからない。
 彼に言われるまま、颯雅と出かけたときにあやかしの出た現場に行き、当時の様子を語った。

 さらに真世が襲われたという二か所にも行った。聞き込みをするが、当時そこにいた人はまったくおらず、廉次が「なにかあればご連絡を」と名刺を配るだけで終わった。

「なにもわからないなんて」
 燈子はしょんぼりとこぼす。
「こんなもんですよ」
 廉次はまったく平気そうで、燈子はじりじりする。一刻も早く颯雅の濡れ衣を晴らしたいのに、暢気に構えているようで腹立たしい。

「おや、記者さん、また聞き込みかい」
 通りすがりの男性に声をかけられ、廉次は軽く頭を下げる。

「なにか情報はありませんか」
「いやあ、なにもないねえ」
 軽く会話をして、男性は去っていく。

「また?」
 燈子が首をかしげると。
「前にも取材に来ましてね」
 しれっと廉次は言う。

 燈子はあきれた。
 本当はとっくに調べ始めていたのに、昨日は恩を着せられ、取引と言われた。意外にしたたかだ。
 それでも今は協力してくれることがありがたい。