婚約者は狼神!? 帝国の守護神の通訳として雇われた私、なぜか溺愛されてます!

 まさに颯雅の状態だ、と燈子は思った。帝国の守護神と祭り上げ、婚約者の話題で盛り上げてから叩き落す。
 自分の存在意義をかけ、命を危うくしてまで戦う颯雅を利益のために非難するなんて、絶対に許せない。

「生活に情報は欠かせない。だから人の幸せのために情報を出すんだ。だというのに、あいつらは人々の知りたいことを報じることに義があると言い張って情報を間違った方向に消費している。まったく信念が合わない」

 燈子は目をぱちくりさせた。新聞を幸せのお手伝いのためと考えたことはなかった。

「ああ、すみません。つい感情的になりました」
「いえ、大丈夫です」
 むしろ彼の熱い一面が見えて信頼が深まった気がする。

「では、自作自演については」
「デマです」
 燈子は即答した。

「証拠はありますか?」
「そんなものなくたって、そばで見ていたからわかります」

「それでは説得力がありません。彼ではなくとも軍の自演の可能性がないわけではありません。綾月大尉が人間になったという事象を効果的に印象的に演出しつつ軍の評判を上げるには、婚約者を救うという民衆の好きそうなエピソードはぴったりですからね」
「失礼です! みんないつも訓練を頑張っているのに!」

「失敬。情報操作も軍事の一面ですのでね、つまりはいろんな可能性を考えているのです。記者の癖で、悪気はないのですよ」
 かけらも悪いと思っていなさそうに彼は言う。