婚約者は狼神!? 帝国の守護神の通訳として雇われた私、なぜか溺愛されてます!

「俺は信用できないか?」
「信用……しています」
「なら話せ」

 燈子は観念した。
 婚約を渡せと言われていること、母との思い出の木を切ると言われていること。
 それを聞いた颯雅は厭悪(えんお)赫怒(かくど)を同時に見せた。銀の髪が逆立っていないのが不思議なくらいだ。

「あいつの性悪さは救いようがないな」
 怒ってくれるのが嬉しいのに、なんだか申し訳ない。
 いっそ自分の手で切ってしまえばよかっただろうか。あの人たちの手にかかるくらいなら。

「明日、一緒にあの家に行こう。木をこの家に移植させる」
「移植?」
 箸を持つ燈子の手が思わず止まった。

「まずは木の無事を確保して、後日、職人に植え替えさせる。枯れる危険がゼロではないが、現状よりいいだろう」
 植え替えるなんて考えたこともなかった。

「でも……お手間もお金もかかります」
「気にしなくていい」
 見たことのない優しい笑みに、燈子の胸がきゅっと痛む。

「もっと早く言えばよかったものを」
「そんなの、私のわがままです」
「いいんだ」
 彼の言葉に、燈子は首をかしげる。