婚約者は狼神!? 帝国の守護神の通訳として雇われた私、なぜか溺愛されてます!

「だから明日からは口づけはいらない」
「え?」
 燈子が驚くと、彼は口をへの字に曲げた。
「少しでも嫌がらせになるだろう」

 燈子は思わず噴き出した。
「なぜ笑う」
「そんな意地悪を考えておいでとは思いませんでした。それに」
 言いかけて、はっと口をつぐむ。が彼は聞き逃してはくれない。

「それに、なんだ?」
 問いかけられ、燈子は目をそらした。
「いろんな女の人が颯雅様の外見で騒ぎますから……。それが許せません。でも本当の颯雅様を知ったらもっと騒がれそうで嫌です。だから狼でいらしてくださったほうがほっとします」
 颯雅はきょとんとして、それから頬を緩めた。

「嫉妬か」
「嫉妬……?」
 燈子は目を丸くした。これは嫉妬でいいのだろうか。

「かわいいやつ」
 颯雅に抱きしめられ、燈子は硬直した。
 愛妻にするかのような抱擁に、燈子の胸はどきどきして破裂してしまいそうだ。

「若様、若奥様、玄関でいちゃついておられないで。早く上がってくださいませ」
 スエにあきれたように言われて、颯雅は笑って離れてくれた。