赤門同好会!

 四月。僕らはついに三年生へと進級した。特進コースとスポーツ科にはクラス替えがないから、僕も(りゅう)吉峰(よしみね)も代わり映えのしない環境で新学期が始まった。
 クラス発表で盛り上がる、という青春らしい経験はできなかったが、大学受験を控えた今年度を慣れ親しんだメンバーと過ごせるのは安心だ。
 
 龍との放課後勉強会も昨年度通り続けている。
 三年生初回の勉強会では、約半年前に立てた計画と現状を照らし合わせ、各教科の進捗を把握した。
 
「どの教科も圧倒的演習不足だな」
 
「デスヨネ〜」
 
 この半年間、龍はしっかりと基礎を身につけてきたと思う。元々の成績からここまで伸ばすのは相当大変だっただろうし、龍の頑張りは僕も認めている。
 しかし、とにかく演習量が足りない。龍は全国のライバルよりかなりスタートが遅かった。龍が全速力で進んでいる間、他の受験生もまた全速力で進んでいる。距離を縮めるのは簡単なことではない。
 ただ、龍がここから演習を積み重ね、様々な問題に対応できるようになっていくことを想像すると、僕は堪らなくワクワクする。次に受ける夏の模試で、龍の点数は確実に伸びるだろう。
 
「次の模試は八月上旬、河合と駿台の東大模試だな」
 
「これ、二つとも受けた方がいいの?」
 
「そうだなぁ、日程が近いから大変だけど、この二つの模試は受験者数が多いからな。東大志望者の中での自分の立ち位置を正確に知ることができる、すごく貴重な機会なんだよ」
 
 これまで受けてきた東進の東大模試は、返却が早く実施回数も多いが受験者数はそこそこ。対して、夏と秋に行われる河合と駿台の模試は、実際に東大を受験するであろう人たちがこぞって参加するため規模が大きい。
 
「なるほどぉ〜、でも受けりゃいいってもんじゃないよな」
 
「それはその通り。模試を受けただけで満足してたら本末転倒だ。その模試をどんな目的で受けるのか、受けたあとの復習や演習のスケジュールはどうするのか、しっかり考えたうえで受けることに意味があると思うよ」

「だよねっ! でも夏休みは時間あるし、俺もやっぱ二つとも受けたいかな」
 
「よし、じゃあ一緒に受けるか。会場と日程メモしとけよ」
 
 龍に模試の情報を調べるよう促しつつ、自分も改めてスマホで検索する。
 
「申し込みは六月に入ってからで、河合は八月の第一日曜、駿台は第二日曜に実施ね〜って、なんか会場少なくね?」
 
「東京じゃねーから仕方ない。まあ、慣れない会場で模試受けるのもいい経験になるし」
 
「ま、それもそっか! (けい)ちゃんとよっしーと遠足みたいな感じで楽しそうだし♪」
 
「遠足……」
 
 吉峰が聞いたら「遊びじゃねぇ!」と怒りそうだが、僕や吉峰のような頭が固い人間には、こいつみたいな遊び心が必要なのかもしれない。受験なんて基本的にしんどいんだから、どこかで楽しむ要素を見つけていかないとやってられないよな。
 

 ◇
 
 
 新学期開始から二週間ほど経ったある日のこと。
 その日も夏の模試を見据えて最終下校時刻まで勉強し、龍とコンビニに寄って帰ろうとしていた。
 荷物をまとめ、溜まったスマホの通知を確認していたとき、僕は思わず「えっ」と大きな声を出してしまった。
 
「ビッックリした〜! 啓ちゃんどうしたの?」
 
「あ、ごめん、驚かせて。いや、ちょっと、珍しい人から連絡が来てたから……」
 
「珍しい人?」

 ここ三年で会ったのは一回だけ、チャットでのやり取りも正月と誕生日に一言程度。以前は、家族のグループチャットに一方的に写真を送ってくることがあったけど、最近はそれもなくなったし……。
 
「え、誰、めっちゃ気になるじゃん!」
 
「……兄ちゃんだよ」
 
「にぃ……えっ! 啓ちゃんのお兄さん!?」
 
「そう。仕事でアメリカ行ってたけど、来月帰ってきてまた東京で働くんだって。帰国したら一瞬実家に来るらしい」
 
「そうなんだ、これから会いやすくなるね!」
 
 確かにアメリカと比べたら距離はグッと近くなるけど……別に、そこまで会わないだろうなぁ。
 
「……啓ちゃん、お兄さんと仲悪いの?」
 
「え、あ、いや全然」
 
 僕の反応が芳しくなかったからか、龍に余計な心配をさせてしまった。でも、本当に仲が悪いというわけではなくて……。
 
「兄ちゃん、歳が九歳離れてるからさ、僕が小学四年生のときには大学進学で上京しちゃって。しかも、性格が僕と全然違って……それこそお前みたいな人だからさ? だんだんコミュニケーションの取り方が分かんなくなったっていうか」
 
「お兄さん俺と似てんの? 嬉し! てか、じゃあ俺と話せてるなら大丈夫じゃない?」
 
「うん、まあ普通に話せるんだけどね。兄ちゃんは余裕で東大行ったし、超大手企業に就職して活躍してるし……なんか、住んでる世界とかライフステージが違うのもあって、若干ぎこちなくなるんだよ。向こうもそんなに僕に興味ないの分かってるし……」
 
「んー、それはお兄さんにしか分からんけど、もっと純粋に話すの楽しめばいいんじゃね? 大学とか仕事とか、知らない世界の話聞けるのワクワクすんじゃん」
 
「ワクワク……まぁ、そうだなぁ」
 
 小学生の頃は気も遣わず、素直に楽しく話せていたような気がするけど……中学生になってから、ただでさえ会える機会が少ないのに、前みたいに接することができなくてなんとなく心の距離ができてしまった。兄ちゃんも兄ちゃんであんまり帰省しなくなって、気づけば海外行っちゃったし……。
 
「俺は兄の立場だけどさ、やっぱり弟って可愛いのよ。俺んとこも今はあんまり話さないんだけど、弟のこと大好きだし。啓ちゃんのお兄さんも、絶対啓ちゃんと会えるの楽しみにしてるよ」
 
「そうかなぁ」
 
 兄ちゃんに嫌われてる感じは全くしないけど、そこまで好かれている感じもしない。兄ちゃんは既にうんと広い世界を知っていて、友達も彼女もいて充実してるから、僕の存在を空気だと思って……いるとはさすがに思わないけど、特別だとか大切だとか、そういうのはない気がする。

「じゃ、啓ちゃんまた明日!」
 
「おう、また明日」
 
 龍と別れたあとも、普段は考えない兄ちゃんのことをなんとなく考えながら帰宅した。
 そしてふと思い出した。夕飯のとき偶然ついていたバラエティ番組で、見たことのあるタレントが言っていた言葉を。
 
 “好きの反対は無関心ですよね”
 
 この「無関心」というキーワードが妙に腑に落ちた。
 兄ちゃんは、僕が歳を重ねるほど僕に無関心になっていったように感じる。僕も表面上は同じような経過を辿ったが、多分、潜在領域ではずっと兄ちゃんのことを意識して生きてきた。そこが違うんだ。
 こんな分析したところで、だから何なんだよって話だけど。兄ちゃんが僕に無関心でも、別に寂しいわけじゃないし……。
 ……寂しいわけじゃ、ないよな?
 
 “やっぱり弟って可愛いのよ”
 “弟のこと大好きだし”
 
 でも、あんなことを言ってもらえる龍の弟を、ちょっと羨ましく思うのは確かだ。
 ……あーもう、久々に兄ちゃんに会うのが、もっと気まずくなってきてしまった。
 
 
 ◇
 
 
 五月に入って二度目の金曜日、兄ちゃんは予定通り実家に帰ってきた。平日だったから僕は学校があって、帰宅したときには既に兄ちゃんが家にいた。
 
「お、啓杜(けいと)! おっかえり〜!」
 
「……ただいま。あと、おかえり」
 
「へへっ、ただいま! 一年半ぶりくらいだな〜。どう、学校は楽しいか?」
 
「うん、まあ普通に」
 
「そうかそうか、ま、高校生活楽しめよ〜」
 
 お酒を片手にテレビを見ながら適当な返事をしてくる兄。
 他人との世間話の方がまだ、気を遣って話を広げようとするから会話が続くだろう。
 
「啓杜、お風呂入ってくる?」
 
「んや、先にご飯食べるよ」
 
 返答を聞くと、母さんは僕の分の冷めた夕飯を電子レンジで温めてくれる。龍と勉強する日は二十時頃に帰宅するため両親と一緒に夕飯を食べるけど、予備校に行く日は二十二時頃になるため僕一人で食べるのだ。
 
「母さーん、ビールもう一本飲んでいい?」
 
 僕が黙々とご飯を食べていると、兄ちゃんが追加の酒を求めて冷蔵庫を見に行ったが、
 
悠杜(ゆうと)あんた飲みすぎよ。あとはお父さんのだからね」
 
 と母さんに怒られて諦めていた。
 父さんはIT系の会社に勤めておりリモートワークが基本で、金曜の夜は書斎で遅い時間まで仕事をしたあと、ご褒美でゆっくりお酒を飲んでいるっぽい。
 もし兄ちゃんがお酒を飲み干したタイミングで父さんがリビングにやってきたら、とんでもない修羅場となるだろう。
 
「じゃ、俺はもう寝よっかなー」
 
「ぇ」
 
 あと一時間くらいは起きているかと思ってたから、いきなり寝る準備を始めたことに驚いた。
 兄ちゃんは歯磨きをしに洗面所に行ったが、僕もお風呂に入るという用事があるので、ご飯を食べ終えてすぐ、あとを追うように洗面所に向かう。
 
 
 
「ん、啓杜、風呂入るのか。すぐ出てくから待っててなー」
 
「明日なんか予定あんの?」
 
「おー、高校の友達と昼飯食べるよ! 啓杜は勉強?」
 
「あ、うん、予備校行く」
 
「そっか、無理せず頑張れよ。じゃ、おやすみ〜」
 
「うん、おやすみ……」
 
 結局、そこまで話すこともなくその日は就寝。
 翌日は僕が予備校に行くより先に、兄ちゃんが遊びに出かけていった。
 
 
 ◇
 
 
 夕方、予備校を出る前に、「今から帰るよ」と母さんに連絡をする。いつも通りなら、このまま普通に帰宅して夕飯を食べるけど……兄ちゃんはどうするのだろう。
 明日の午後には兄ちゃんは東京に帰る。一緒にご飯を食べられるのは、今夜と明日の朝くらいなのに……夜も友達と食べてくるのかな。
 
 
「ただいまー……」
 
 玄関を開け、靴の有無を確認すると――。
 
「啓杜! おかえりー!」
 
「っ……ただいま。ってもうビール飲んでんじゃん」
 
「今日はちゃんと自分で買ってきたやつだから!」
 
 兄ちゃんは、先に帰ってた。
 なんなら缶ビールを片手に玄関まで来てくれた。
 
「今日の夕飯なに?」
 
「母さんが今ハンバーグ作ってくれてるぅ〜」
 
「ハンバーグ……ねぇ分かんない問題あるから夕飯終わったら教えて」
 
 あ、意外とスッと言えた。急だったかもしれないけど。
 
「……えっ!? 俺に言ってる!?」
 
「兄ちゃんしかいないじゃん」
 
「お、おぉ……了解! 教える!」
 
 昔はよく兄ちゃんにも勉強を教えてもらってた。
 裕輔くんと三人で遊んだこともあった。
 あの頃に戻りたいとは思わないけど、裕輔くんと話すように、やっぱり兄ちゃんとも前みたいに話したいのだと気づいた。
 
 
 ◇
 
 
「――っていう考え方をすれば、典型問題に落とし込める。どう、分かった?」
 
「なるほど……! めっちゃ分かりやすい」
 
 兄ちゃんは約束通り、夕飯後、僕の部屋に勉強を教えに来てくれた。その頭脳は現役時代からの衰えを一切感じさせず、細かい質問にも素早く的確に対応する。
 
「兄ちゃん、やっぱすごいね。ほんとありがと」
 
「啓杜……はぁ〜大きくなったなぁ〜」
 
「え゙っ、な、なに急に」
 
 兄ちゃんが突然しゃがみこんでため息を吐く。
 思わず目線を合わせようと僕もしゃがんでしまった。
 
「俺が啓杜への愛を抑えている間に、こんなに難しい問題まで解けるようになって……」
 
「は? な、なんて?」
 
「啓杜、中学の頃から帰省するたびにクールになってさぁ。母さんには『ウザがられてるんじゃない? あんたもいい加減、弟離れしなさい』とか言われるしさぁ。なんか裕輔とどんどん仲良くなって、二人の方が本当の兄弟みたいになってるしさぁ!」
 
「えー……えぇ……」
 
「もう俺にできることは、啓杜の勉強を邪魔しないことだけだ、と思ってさぁ……!」
 
 いや……確かに龍の弟を羨ましいとは思ったけど、さすがにこれは態度が豹変しすぎだろう。
 戸惑いながらも、大袈裟においおいと泣く二十七歳成人男性の背中をさする。
 
「でもさぁ、なんか今回帰省したら啓杜の雰囲気が柔らかくなっててさぁ、しかも俺のこと頼ってくれたしさぁ、嬉しくって我慢できなくてさぁ〜」
 
「あーあーもう分かったから鼻水拭いて……」
 
 ティッシュ箱を差し出すと兄ちゃんは雑に鼻をかんで、僕の頭を撫で始めた。
 
「もう……ごめんって。ウザいとかは思ったことないけど、多分、僕がずっと思春期だったんだ」
 
「思春期……それはそれで可愛い」
 
「っ、で、でも! 今回帰ってくるって聞いてから、僕もまた兄ちゃんといっぱい話したいって気づいたし……とにかく思春期終わったから! この話終わり!」
 
「啓杜……けいとぉ〜ハグさせて〜」
 
「酒臭い!」
 
 酔っ払いアラサーはそのあとしばらく面倒くさい絡み方をしてきたし、ついには僕の部屋で一緒に寝たいと言い出したが、強くお断りしておいた。
 けど、その夜は少しだけ夜更かしして、久々に兄ちゃんと色んな話をした。龍や吉峰、駿太のことを教えると、「いい友達ができたんだなぁ」と嬉しそうに笑っていた。
 
「受験のときは俺の家に泊まっていいからねぇ」
 
 と言いながら、兄ちゃんは夢の中へ行ってしまった。
 ここ五年間ほど兄らしいことができなかった、と何度かこぼしていたから、それを気にして受験時のサポートをしてくれるつもりなのだろう。
 
「……兄ちゃんは僕の兄ちゃんってだけで十分だよ」
 
 兄というものは、生きているだけで弟の人生の指針になる。生まれたときからずっと、僕の何歩も先を歩く兄ちゃんの背中を見てきた。見ざるを得なかった。
 でも、兄ちゃんは僕に背中を向けていたわけじゃなくて、いつも僕を見守ってくれていたんだと、実感させられた夜となった。
 
 
 ◇
 
 
 兄ちゃんが帰った翌日の月曜日、この週末にあったことを龍に話したら、「ほら! だから言ったじゃーん!」と頬をツンツンされながら言われた。
 気がかりだったのは、龍の兄弟仲について僕はあまり知らないことと、僕らの会話を近くにいた吉峰にも聞かれていたことだ。
 そんな僕の視線と空気を感じ取ったのか、吉峰は自らズンズンと歩いて近寄ってきた。
 
門田(かどた)のくせに変な気ぃ遣ってんじゃねーぞ」
 
「っ、別に、気遣ってるわけじゃ……でも、お前ってお兄さんのことどう思ってんの」
 
 以前聞いた話では、吉峰には身体の弱いお兄さんがいて、そのお兄さんは東大目指してたけど結局私立に行って……。お兄さんに付きっきりの母親から、吉峰には東大を諦めて確実に受かる国立に行ってほしいと言われていて……。
 こういった経緯を考慮すると、やはり兄に対して良い気持ちはしないのだろうか。
 
「俺は……兄がずっと大変な思いをして頑張ってたの見てきた。俺は身体が丈夫だから、足して二で割れたらいいのにって思った。俺の置かれた状況を一番気にしてるのは兄だし、母さんがああなるのも分かるし。でも、俺にだって心はあるし。結局、将来的に俺の家族が対等にコミュニケーションを取るためには、俺が東大に合格するしかないんだよ」
 
「吉峰……」
 
「よっしー……」
 
「……とにかく! 俺は絶対に東大に合格するって覚悟決めてんの」
 
 言葉の通り覚悟の決まった想いを語る吉峰のことを、今日ばかりは手放しに尊敬したくなる。それは龍も同じなのか、ぽつりと「かっけーな……」と呟いた。
 
「二人とも、お兄さんのことリスペクトしてんだねぇ……対して俺ときたら、弟にとっくに呆れられてると思うよ」
 
「龍……お前の弟ってどんな子なの?」
 
「真面目で、泣き虫で、人見知りで……って、これは小さい頃の話かも。今はもう……分かんないんだよね」
 
 龍は少し切ない声でそう話し、寂しそうに笑う。
 
「……同じ家には住んでんだよな?」
 
「いや、それが……弟は中学受験してS中学校に行ってるんだけど、このあたりからだと一時間半くらいかかるじゃん? だから、学校に近いばあちゃんの家から通ってんの」
 
「そうだったのか……てかS中って、弟さんガチで頭いいじゃん」
 
「へへ、すごいだろ? だから、親には弟の邪魔すんなよって釘刺されてるの。悪い影響与えるなって」
 
 なんだか、一昨日までの僕と兄ちゃんの関係性に似ているような気がするけど……他人の家のことばかりは分からない。
 悲しげな龍を見ていると何かしてやりたくなってしまうが、僕は弟さんのことを全く知らないし、余計な口出しはできないよな……。
 
「ちょっと啓ちゃん、そんな顔すんなよ〜! 弟は中学で頑張ってるみたいだし、絶対また普通に話せる日が来るからさ。俺は、今はこれでいいと思ってんのよ」
 
「そっか……まあ、お前がそう言うなら」
 
 ずっと僕の隣で単語帳を見ながら話を聞いていた吉峰は、その単語帳から目を離さずに、「弟にいい影響与えられるように勉強頑張れよ」とこいつなりのエールを龍に送っていた。
 
「啓ちゃん、よっしー、ありがとっ♡」
 
 と投げキッスをして、龍は自分の教室へと帰っていく。
 
 龍なりに気持ちの整理がついていると言うのなら、それ以上僕らがすることはない。
 いつか龍と弟さんが笑って話せることを願うだけだ。
 
 それにしても、あの龍の弟が一体どんな子なのかは純粋に気になる。性格は反対っぽいけど、兄弟なら見た目はどこかしら似てるかもしれない。
 それこそ、いつか僕も会う機会があればいいなぁ。
 
 
 ……と、そんなことを思っていたわけだが。
 その「いつか」が想像よりずっと早く来ることを、このときの僕はまだ知らない。