あれから、十年経って、私は高校二年生になりました。
「珠夜〜!先輩達にお土産持ってこ!」
「良いよ!」
明日は、高校三年生の卒業式。
だから、部活とかでお世話になった先輩達にお土産を渡したいし、感謝の気持ちを伝えたい。
そして、私にはもう一つ、あの人に伝えたい気持ちがある。
「わあ〜、可愛い!みんなお土産ありがとう〜!」
「大切にするね!」
今私達がいるのは、グラウンドのど真ん中。
教室は早くも施錠されてしまっていたから、みんなグラウンドに集まる事になったのだ。
この学校は中高一貫校だから、それぞれの校舎やグラウンドは結構広い。
私は部活や生徒会で一緒になった先輩達全員に、旅行で買ったお土産を渡した。
因みに、私が入っている部活は剣道部と書道部で、高三になったら部長になるのが決まっている。
あと生徒会も、高三になったら、生徒会長になるのが決まっている。
えーっと、5、4、3……。
あと2袋!
この2袋の内1袋は、最後の最後に渡そう、渡そうと、ずっと楽しみにしていた、私の大好きな先輩へのお土産。
その先輩は石田蒼斗先輩といって、学業もスポーツもずっと学年一位でイケメン、おまけに優しい。
この前なんて、剣道の関東大会で優勝もしてた。
この学校は高二から、文系コース・理系コース・医療コースに分かれるんだけど、石田先輩は医療コースで、なんと中間・期末テストでは全科目九十点以上!
しかも、大学受験では第一志望に一発で合格した。
正直言って、最初は信じられなかった。
そんな完璧すぎる人間が、この世にいるわけがないと思っていたからだ。
でも、この五年間、ずっと石田先輩の事を見続けている内に、信じられるようになった。
それどころか、信頼の気持ちから尊敬に、尊敬から恋心へと、私の気持ちは変わっていった。
だから今日、石田先輩ともう毎日会えなくなってしまう前に、この気持ちを伝えたいと思う。
そして、もう1袋は……。
「た〜ま〜よ!」
いきなり背中をバシッと叩かれた。
振り返るとそこには、私の親友の松田秋菜ちゃんがいた。
「ちょっと秋菜ちゃん、ビックリさせないでよ……」
「えへへ、ごめん!ねえ、今日ついに言うの⁉︎」
「言うって、誰に、何を?」
「そりゃあ勿論、石田先輩に、こ・く・は・く」
「っ……それは……」
秋菜ちゃんは、私が石田先輩が好きな事を唯一知っている人物だ。
私が何て返事をしようか迷っていると、急にキャー‼︎と、小さな悲鳴が次々と聞こえてきた。
何事かと思い、その場の人達を見ると、全員が同じ所を見つめている。全員の目線を追うと、そこにいたのは、石田先輩と同じく高校3年生の、木下風歌先輩。
この先輩こそ、私が残りの1袋を渡したいと思っていた人物だ。
この風歌先輩は、石田先輩と同じく、美人で性格も良く、勉強もスポーツも出来るんだけど、特に極めているのが、音楽。
音楽は音楽でも、色々種類はあるんだけど、風歌先輩はとにかく、歌が上手い。
大学も、日本の音楽大学ではなく、古くから音楽の都と言われている、オーストリアのウィーンの大学へ行くそうだ。
風歌先輩を見た瞬間、秋菜ちゃんは顔をしかめた。
「げ〜、風歌先輩じゃ〜ん」
秋菜ちゃんは風歌先輩の事が嫌い、というか苦手だ。
その理由を今から説明すると、実は、風歌先輩と石田先輩は、好き同士なのではないかという噂があるのだ。
何故この噂が、秋菜ちゃんが風歌先輩の事が苦手な理由になるのかというと、風歌先輩は石田先輩の事が好き。つまり、風歌先輩は私の恋敵になるという事。
秋菜ちゃんは、誰よりも私の恋を応援してくれている為、私の恋の邪魔になってしまう風歌先輩の事が苦手なのだ。
これはある意味、私の事をそれほど大切に思ってくれている、という事なんだけど……どうも気持ちが複雑だ。
そういうお前は風歌先輩の事どうなんだって、読者の皆さんは思ったかもしれないけど、私は風歌先輩が、石田先輩と同じくらい、大好きなんだ!
恋敵なのに?何で?って、また頭の中にはてなが浮かんだ人もいるかもしれないけど、私には、風歌先輩に助けてもらった思い出があるんだ。
「珠夜〜!先輩達にお土産持ってこ!」
「良いよ!」
明日は、高校三年生の卒業式。
だから、部活とかでお世話になった先輩達にお土産を渡したいし、感謝の気持ちを伝えたい。
そして、私にはもう一つ、あの人に伝えたい気持ちがある。
「わあ〜、可愛い!みんなお土産ありがとう〜!」
「大切にするね!」
今私達がいるのは、グラウンドのど真ん中。
教室は早くも施錠されてしまっていたから、みんなグラウンドに集まる事になったのだ。
この学校は中高一貫校だから、それぞれの校舎やグラウンドは結構広い。
私は部活や生徒会で一緒になった先輩達全員に、旅行で買ったお土産を渡した。
因みに、私が入っている部活は剣道部と書道部で、高三になったら部長になるのが決まっている。
あと生徒会も、高三になったら、生徒会長になるのが決まっている。
えーっと、5、4、3……。
あと2袋!
この2袋の内1袋は、最後の最後に渡そう、渡そうと、ずっと楽しみにしていた、私の大好きな先輩へのお土産。
その先輩は石田蒼斗先輩といって、学業もスポーツもずっと学年一位でイケメン、おまけに優しい。
この前なんて、剣道の関東大会で優勝もしてた。
この学校は高二から、文系コース・理系コース・医療コースに分かれるんだけど、石田先輩は医療コースで、なんと中間・期末テストでは全科目九十点以上!
しかも、大学受験では第一志望に一発で合格した。
正直言って、最初は信じられなかった。
そんな完璧すぎる人間が、この世にいるわけがないと思っていたからだ。
でも、この五年間、ずっと石田先輩の事を見続けている内に、信じられるようになった。
それどころか、信頼の気持ちから尊敬に、尊敬から恋心へと、私の気持ちは変わっていった。
だから今日、石田先輩ともう毎日会えなくなってしまう前に、この気持ちを伝えたいと思う。
そして、もう1袋は……。
「た〜ま〜よ!」
いきなり背中をバシッと叩かれた。
振り返るとそこには、私の親友の松田秋菜ちゃんがいた。
「ちょっと秋菜ちゃん、ビックリさせないでよ……」
「えへへ、ごめん!ねえ、今日ついに言うの⁉︎」
「言うって、誰に、何を?」
「そりゃあ勿論、石田先輩に、こ・く・は・く」
「っ……それは……」
秋菜ちゃんは、私が石田先輩が好きな事を唯一知っている人物だ。
私が何て返事をしようか迷っていると、急にキャー‼︎と、小さな悲鳴が次々と聞こえてきた。
何事かと思い、その場の人達を見ると、全員が同じ所を見つめている。全員の目線を追うと、そこにいたのは、石田先輩と同じく高校3年生の、木下風歌先輩。
この先輩こそ、私が残りの1袋を渡したいと思っていた人物だ。
この風歌先輩は、石田先輩と同じく、美人で性格も良く、勉強もスポーツも出来るんだけど、特に極めているのが、音楽。
音楽は音楽でも、色々種類はあるんだけど、風歌先輩はとにかく、歌が上手い。
大学も、日本の音楽大学ではなく、古くから音楽の都と言われている、オーストリアのウィーンの大学へ行くそうだ。
風歌先輩を見た瞬間、秋菜ちゃんは顔をしかめた。
「げ〜、風歌先輩じゃ〜ん」
秋菜ちゃんは風歌先輩の事が嫌い、というか苦手だ。
その理由を今から説明すると、実は、風歌先輩と石田先輩は、好き同士なのではないかという噂があるのだ。
何故この噂が、秋菜ちゃんが風歌先輩の事が苦手な理由になるのかというと、風歌先輩は石田先輩の事が好き。つまり、風歌先輩は私の恋敵になるという事。
秋菜ちゃんは、誰よりも私の恋を応援してくれている為、私の恋の邪魔になってしまう風歌先輩の事が苦手なのだ。
これはある意味、私の事をそれほど大切に思ってくれている、という事なんだけど……どうも気持ちが複雑だ。
そういうお前は風歌先輩の事どうなんだって、読者の皆さんは思ったかもしれないけど、私は風歌先輩が、石田先輩と同じくらい、大好きなんだ!
恋敵なのに?何で?って、また頭の中にはてなが浮かんだ人もいるかもしれないけど、私には、風歌先輩に助けてもらった思い出があるんだ。
