大輝とはるかは、二人校舎の間に、並んで座っていた。

大輝は、もし、あすかや、しのぶが、このことを知ったら、どんなに悲しむだろうかと思っていた。



一方のはるかは、顔に似合わぬ独占欲の強い性格であった。当面のライバルは、あすかとしのぶ。



はるかは、大輝が、優柔不断な性格と、わかっていた。だから、あることを思いついた。

はるか「宣戦布告しようよ!!!」

「誰に?」と大輝。

「あすかとしのぶに、あたしたちのキスを見せるの?」もはや、はるかは、真珠湾攻撃をする零戦だった。合図は「とら、とら、とら」



大輝は、まずいことになったと、思った。このあいだの夜は、ショックで、しのぶは、学校を休んだ。そして、あすかとは、キャンプにいくことで、許してもらった。



はるかの独占欲には、大輝は、気づいてなかった。

「するの、しないの、どっちなの?」とはるか。

もはや、大輝に逃げ道は、ない。



「音楽教室にしようよ」とのはるかの提案に、しぶしぶ、ついていく大輝。

音楽教室についた。ピアノの音が、聞こえる。

「じゃじゃじゃ〜ん」ベートーベン第五交響曲「運命」だった。弾いているのは、明子先生。



はるかは、「こんな時に」と思った。

大輝は、その音を聞いて、不吉な予感がした。



「視聴覚教室に行くわよ」作戦変更の指揮は、はるか。



視聴覚教室に着いた。誰もいない。

「さあ、しのぶとあすかに、ラインで、視聴覚教室に来てと送って」と促すはるか。



あすかとしのぶは、急にいなくなった、大輝を、一緒に帰るために、探していた。

その時に、大輝の名前で、はるかが送ったラインが来た。

「なぜ、視聴覚教室にいるのかしら?」とあすかとしのぶは、いぶかしかったが、その方向へ、向かった。



大輝は、これで、もう3人の友達関係は、終わりか?と思ったら、今までの記憶が、走馬灯のように、流れてきた。



はるかが「きたわよ、さあ」と大輝を促した。

大輝は、やっぱり優柔不断。

「ほら、はやく」と大輝の頬を手のひらで包み、キスをした。



「ガラ、」ドアが開いた。

「大輝とはるか」とあすかが言った。



二人とも、あすかとしのぶを見ない。

しかし、この二人の体勢は、明らかに、大輝がはるかに、キスされている。



二人は、ゆっくりと、離れた。大輝は、二人の顔を見ることが、できない。



しのぶが、声を上げた。

「無理矢理、キスして楽しい?」

はるかが言った。

「もう、大輝のことは、諦めてくれる?」



しのぶ「そうは、させないわ!」と言って、はるかに詰め寄った。

はるかは、驚いた。いつもは、おとなしい、しのぶが、何をするのだろうと。



しのぶは、はるかのくちびるに、自分のくちびるを吸うように、キスした。



それから、大輝のくちびるの後を消すように、舌で舐めた。



これは、意外。本当に、恋愛に強いのは、しのぶだった。はるかは、力が抜けて、その場に、座ってしまった。



はるかは、「お芝居でも、これは、なかった。」とショックを受けた。



「大輝、帰ろう!」と呼びかけたのは、あすか。

「カラスが鳴くから、かーえろ!」としのぶ。



次は、夏のキャンプ場。白紙に戻った恋模様は、乱戦に、なりそうな予感。あすかは、大輝とキスをするのか?



君は、ネバーランドの夢を見る。