健太一家は、見つかっていない。

警察は早々に捜査を打ち切り、部屋から見つかったあの木の人形も、ただの民芸品として処理された。

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俺は、友人に何が起きたのかを知るために、この記録をまとめ始めた。

だが、いくら記録を見返しても、健太一家にふりかかった厄災がなんなのかはわからない。


あの人形がきっかけなのか？パーティーでなにかを呼んでしまったのか？

どちらでもある様に思えるが、｢これだ｣と、断定できるものは無い。


記録をまとめ始めた頃から、日常になにか不穏なものを感じる。
はっきりとは言えないが、家の中になにかいるような感じだ。

妻は最近、あまり笑わなくなった。子供も、やたらと夜泣きをするようになった気がする。気のせいか？いや、以前はもっと穏やかな日々だった。
そして、俺自身もそうだ。毎晩、夢を見る。暗い部屋で、誰かが誰かのために、何かを「満たして」いる夢だ。

そして今日、帰宅すると玄関に妻のスニーカーがなかった。
あれ？今日は仕事休みじゃなかったか？彼女の携帯に電話をかけるが、電源が入っていない。
リビングに入ると、テレビが点いたまま。テーブルの上には、食べかけの夕食が残されていた。
子どもの姿も見えない。
そして、キッチンカウンターに、小さな、黒ずんだ木片が一つ、落ちていた。