主役の君と脇役の夕暮れ

 いつもそうだった。

 全てを持っている主役に、私は憧れていた。

 自分から話しかけなくても、自然と人を惹き付けるような力があって。一言話すだけで、微笑むだけでその場がパッと明るくなる。

 皆、口を開けばその子の名前を呼び、おまけに振り向くと誰もが見とれるような容姿を持っていて


 ーー勝てるはずがない。


 隣にいて直感的にそう思った。そもそも私が隣にいれているだけで不思議なのだが。皆、私の存在に気づいていない。隣にいる主役に夢中だから。

 誰からの視線も向けられない私は、自然と脇役になる。望んでもいない脇役に。

 争う気なんてさらさらないのに、羨ましいと思ってしまうのは何故だろう。

 こんな感情がなければ、友達のままでいれたのかな。

 光があたる暖かい世界と影がさした冷たい世界。同じ世界で生きているのにこんなにも違う。


 心の奥で叫ぶが、誰にも届かない。声は空回り、その叫びはやがて、夜の闇のように黒く染まっていく。




 ふと見上げた空は徐々に暗くなっていた。まるで私の心のように。

 それでも一際目をひく真っ赤な存在。どうせ日は沈むのに抗うように、輝いている。

 この夕日も沈むと闇に染まるだろう。それでも今、この瞬間だけは誰が何と言おうと主役は目の前の夕日だった。



 「…綺麗」



 オレンジの光に照らされたとき、私の頬を一筋の涙が伝った。


 私も、こんな風に堂々と生きれたら、誰かに見てもらえるのかな。少しは自分のこと、愛せるようになるのかな。










 変わりたい。













 ーーー私も主役になりたい。