読書ばかりでおしゃれに関心がなかったせいで、デート向きの服なんて一着も持っていなかったから、白いプリントＴシャツに白いフレアスカートと運動靴という格好だ。

持ってきたバッグは図書館へ行くときに使っているトートバッグでなんの可愛げもなく、ネックレスなどの装飾品はひとつも持っていないのでつけていない。

『△△さん！』
モタモタしている間に大島くんの方が気が付いて手を振ってきた。
慌てて駆け寄って『お、おはよう』と声をかける。

学校内でかわす挨拶とは違いすぎて緊張でぎくしゃくしてしまう。
『私服可愛いね』
『こ、これが？』