今、俺の目の前では何が起こっているのだろうか。
今の状況を整理する。まず夢香と俊道と一緒に電話しながら山を登ってきた。神社まで辿り着いたら電話の回線が悪くなって、そこで揺れていた木に近づいたら女の子が降ってきた。
整理すればするほど意味が分からなくなる。ただひたすら混乱に陥った俺に、その女の子が話しかけてきた。
「君はどうしてこんなところに?」
風鈴が鳴るかのような美しい声色だった。
「どうしてって…ちょっと用があっただけだよ。それより、君こそどうして木の上から落ちてきたりなんてしたの?」
その人は、首を傾げて逡巡した後に答えた。
「…ちょっと君にお願いがあるんだけどさー。ここで見たことは全部忘れるってことはできないかなー?」
「いや、こんな衝撃的な出会いをして忘れる方が難しい」
はぐらかしてくる彼女にキッパリと言う。考えにくいが、この人が不審者である可能性を捨てきれないため、ここで見逃すのはあまり良くないような気がする。
そして、彼女を見逃さないという選択にもう一つ理由をつけるとするならば…彼女が端正な顔立ちをしていたからだろうか。
「うーん、そういうことなら仕方ない。じゃあ、夜の神社を徘徊している変人同士、お互いの存在を頭の片隅に入れておくとしようか。それじゃ」
俺を変人として認識してしまったらしい彼女は、踵を返してどこかに立ち去ろうとした。
「ねぇ、変人同士の仲として名前くらいは教えてくれないの?」
彼女の正体が不審者であれ変人であれ、名前を聞いておいて損はないだろう。
「そういう時は先に名乗るのが礼儀だよ?」
彼女はしたり顔でそう言う。不審者である前に面倒臭い性格をしているのかもしれない。
「俺は藤高虹輝。簡薙高校の2年だ」
「へー、良い名前してるじゃん」
「それで、君の名前は?」
「時音。私の名前は、伊美時音」
涼しげな夜風に乗せて、彼女は自らの名を告げた。
こうして、彼女の印象が“夜中に木から落ちてきた変人”から“伊美時音という美しい名を持つ女の子”へと変わった。
「なんで電話が途切れちゃったんだろう?」
翌日。毎日学校で行われている朝集会に赴くために3人で歩いている時、夢香が尋ねた。
あの後、伊美時音は足早にどこかへ立ち去ってしまった。深追いなどはせずにそのまま家に帰り、2人に「不思議な体験をしたから明日詳しく話す」とだけメッセージを送っていたのだ。
「虹輝、昨日何があったのか教えてくれ」
「ああ。実は…」
伊美時音と名乗る不思議な少女との出会いについて、2人に話した。
「え…何それ、怖いね」
「時音なんて名前、聞いたことないな」
やはり2人も、その人物に心当たりはないようだった。
「あの青年といい、時音っていう人といい、なんだか怪しいな。本当に不審者なんじゃね?」
「もし不審者だったら、学校の方から連絡があるんじゃないか?」
立ち入り禁止エリアにいたから目撃情報が多いとは思えないが、今のままでは何もヒントがないのも事実だ。
「まあ後で考えようよ」
学校に着く。一応の点呼が始まるまで自分の席で待つ。やがて、先生が気だるそうに教室に入ってきた。
「今日は大事な知らせがある」
先生の一言で皆がざわつき始める。俊道が後ろの方を振り向いて俺に小声で話しかけてきた。
「…神社に立ち入ったのがバレたとかじゃないよな」
「俺も思ったけど、あの時は細心の注意を払ったはずだ。バレるなんてことはない」
しかし、可能性としてはゼロではない。もしバレたとしたら説教だけで済めば良いが…
「うちのクラスに一時的に転校してくることになった新たな生徒を紹介する。探検にも飛び入り参加してもらうから皆仲良くするんだぞー」
それは杞憂に終わった。俊道と一緒に胸を撫で下ろす。
しかし、こんな時期にこんな僻地の学校に転校してくるだなんてどんな物好きなのだろう。
教室のドアが開き、1人の女子生徒が入ってくる。その人が真ん中まで来た時、教室内で軽い歓声が湧いた。きっと、その生徒が非常に可愛らしい見た目をしていたからだろう。皆が目を輝かしているのが分かる。
その反面俺は、驚き呆れて声も出せなかった。理由は単純。俺はその人物を知っていたからだ。
長い前髪、水晶のように透き通った瞳、そして…
「伊美時音と言います。探検活動楽しみにしていました、よろしくお願いします」
風鈴が鳴るような美しい声色。
転校生とは、昨日神社で出会った伊美時音に他ならなかった。
点呼が終わった直後、すぐに夢香と俊道を廊下に呼び出した。
「間違いない。あの人が、昨日神社で出会った人だ」
「確かに伊美時音って名乗ってたしね。でも…なんか色々引っ掛かるよね」
夜の神社で偶然出会った翌日に、しかもやっと7月に入ったというこの時期に転校してくる。この2つの事象が偶然だとは思えなかった。
「…本人に問い詰めれば何か分かるんじゃね」
「虹輝くんならいける!」
「なんで俺がやる前提なんだ…?」
「そりゃあ唯一、あの人と顔見知りだし」
顔見知りと言っても、それ以上でもそれ以下でもない。正体を問い詰めるだなんて溜まったもんじゃない。
「ねぇねぇ」
突如、後ろから肩を叩かれた。後ろを振り向き、目を見開く。ちょうど噂していた伊美時音が笑顔で立っていた。
「昨日ぶりだね。えーっと…ホウキくん」
「わざとなのかどうか知らないけど俺はホウキじゃくて虹輝な」
「ありゃ、間違えた」
昨日から思っていたが、この人はやけに距離感が近い。ついつい、俺も軽口を叩いてしまう。そこまで不快ではないから別に良いけれど。
「ヒソヒソ…何かあの2人仲良くね?」
「ヒソヒソ…もうあんなに話せるんだ」
俊道と夢香の内緒話が聞こえてくる。仲良しかどうかは置いといても、話しやすいというのは事実だ。
「あ、昨日神社で虹輝と会いました伊美時音です。2人は虹輝の探検仲間だよね?」
知らない間に呼び捨てされていることには突っ込まないでおこう。
「私、成川夢香。虹輝くんとは幼馴染で探検仲間だよ!」
「へー可愛い名前。夢香ちゃんって呼んでいい?」
どうやら、誰に対しても距離感が近いようだ。所謂コミュ強というやつか。
「そして、君の名前は?」
案の定、俊道も話しかけられる。
「えっと…森山俊道」
「おお良い名前!うーん、としみっちとかどう?」
「と、としみっち…?」
俊道は困惑したかと思えば、すぐに目を煌めかせて何度も頷いていた。夢香からとしみーと呼ばれ、時音からとしみっちと呼ばれる。そう考えると中々ユーモラスだ。
「自己紹介も済んだことだし…実は3人に相談があってね」
時音は一呼吸おいて話し始めた。
「色々あって探検活動の為に転校してきたんだけど…先生から、『他のチームの探検を体験させてもらって、良いと思ったチームに加入して欲しいな』って言われたの」
「この時期の編入だと大変だよな」
俊道が相槌を打つ。
「でも、私はここのチームしかないなって思ってるんだ!」
「それまたどうして?」
「だって…衝撃的な邂逅をした虹輝がいるんだよ!?しかも3人とも凄く温かくてさ、もしも皆が良いっていうんなら、私をここに入れてください!」
時音が俺たちに頭を下げてきた。こういうところはしっかり礼儀正しいんだなと思う。
「ちょっと、3人で話し合っても良い?」
俺としては時音が加入することに異論は無い。しかし…時音の正体についてはやはり不可解な点が多すぎる。そこもふまえて、3人で話し合うべきだと思う。
「うん、大丈夫。私待ってるから」
「僕は…手放しに肯定はできないな」
教室に戻った矢先、俊道が呟いた。
「理由を聞いても?」
「うん。まあ時音の正体が分からないってのはあるんだけどさ。それともう一つ…俺たち、幼い時から約束してたよね、高校生になったら3人で探検しようねって。その約束がやっと叶って…って時に見ず知らずの新メンバーを入れるのは何だか煮え切らないんだ」
沈黙する。言い返すことはできない。何故なら、俺もそのような気持ちをほんの少しだけ抱いているからだ。
俺たちは幼馴染3人グループとしての認識が強い。たまに他の友達を誘って遊ぶこともあったけれど、やはり3人でいる時が一番楽しかった。
…考えた末、俺は1つ、決断をした。
「俺は…時音を受け入れたい」
2人の視線が一斉に俺の方を向く。
「いつまでも3人組に囚われていたら、俺たちの世界はずっと広がらないんだと思う。せっかくの探検だし…自分たちの殻を破ってみたいんだ」
俺の一声で2人は静まる。窓の外で鳴く蝉の声がやけに五月蠅く聞こえた。
「私も、時音ちゃんがいた方が賑やかになるし、新鮮だし、良いと思うな」
「僕も虹輝の訴えを聞いて気が変わった。既存のグループに囚われる必要は、無いんだよな」
俊道はほくそ笑んで続けた。
「時音さんがいれば、神社に入りやすくなりそうだしな」
「さてはそれが本音か…?」
何はともあれ、これで時音の正式加入が決定した。
「おーい、時音」
廊下に戻り、新たな仲間の名前を呼ぶ。彼女の表情には不安の色が滲んでいるような気がした。
「俺たち3人と、一緒に探検しよう」
時音は顔を綻ばせた。
「本当に…良いの?こんな急なお願いだったのに」
「時音ちゃんがいた方が楽しそうだもん」
と、夢香。
「ま、3人よりは4人の方が賑やかだろうね」
と、満更でもなさそうな俊道。
「よし、決まりだな。じゃあよろしくな、時音!」
時音は、向日葵みたいに笑顔を咲かせて答えた。
「よろしくね!」
今の状況を整理する。まず夢香と俊道と一緒に電話しながら山を登ってきた。神社まで辿り着いたら電話の回線が悪くなって、そこで揺れていた木に近づいたら女の子が降ってきた。
整理すればするほど意味が分からなくなる。ただひたすら混乱に陥った俺に、その女の子が話しかけてきた。
「君はどうしてこんなところに?」
風鈴が鳴るかのような美しい声色だった。
「どうしてって…ちょっと用があっただけだよ。それより、君こそどうして木の上から落ちてきたりなんてしたの?」
その人は、首を傾げて逡巡した後に答えた。
「…ちょっと君にお願いがあるんだけどさー。ここで見たことは全部忘れるってことはできないかなー?」
「いや、こんな衝撃的な出会いをして忘れる方が難しい」
はぐらかしてくる彼女にキッパリと言う。考えにくいが、この人が不審者である可能性を捨てきれないため、ここで見逃すのはあまり良くないような気がする。
そして、彼女を見逃さないという選択にもう一つ理由をつけるとするならば…彼女が端正な顔立ちをしていたからだろうか。
「うーん、そういうことなら仕方ない。じゃあ、夜の神社を徘徊している変人同士、お互いの存在を頭の片隅に入れておくとしようか。それじゃ」
俺を変人として認識してしまったらしい彼女は、踵を返してどこかに立ち去ろうとした。
「ねぇ、変人同士の仲として名前くらいは教えてくれないの?」
彼女の正体が不審者であれ変人であれ、名前を聞いておいて損はないだろう。
「そういう時は先に名乗るのが礼儀だよ?」
彼女はしたり顔でそう言う。不審者である前に面倒臭い性格をしているのかもしれない。
「俺は藤高虹輝。簡薙高校の2年だ」
「へー、良い名前してるじゃん」
「それで、君の名前は?」
「時音。私の名前は、伊美時音」
涼しげな夜風に乗せて、彼女は自らの名を告げた。
こうして、彼女の印象が“夜中に木から落ちてきた変人”から“伊美時音という美しい名を持つ女の子”へと変わった。
「なんで電話が途切れちゃったんだろう?」
翌日。毎日学校で行われている朝集会に赴くために3人で歩いている時、夢香が尋ねた。
あの後、伊美時音は足早にどこかへ立ち去ってしまった。深追いなどはせずにそのまま家に帰り、2人に「不思議な体験をしたから明日詳しく話す」とだけメッセージを送っていたのだ。
「虹輝、昨日何があったのか教えてくれ」
「ああ。実は…」
伊美時音と名乗る不思議な少女との出会いについて、2人に話した。
「え…何それ、怖いね」
「時音なんて名前、聞いたことないな」
やはり2人も、その人物に心当たりはないようだった。
「あの青年といい、時音っていう人といい、なんだか怪しいな。本当に不審者なんじゃね?」
「もし不審者だったら、学校の方から連絡があるんじゃないか?」
立ち入り禁止エリアにいたから目撃情報が多いとは思えないが、今のままでは何もヒントがないのも事実だ。
「まあ後で考えようよ」
学校に着く。一応の点呼が始まるまで自分の席で待つ。やがて、先生が気だるそうに教室に入ってきた。
「今日は大事な知らせがある」
先生の一言で皆がざわつき始める。俊道が後ろの方を振り向いて俺に小声で話しかけてきた。
「…神社に立ち入ったのがバレたとかじゃないよな」
「俺も思ったけど、あの時は細心の注意を払ったはずだ。バレるなんてことはない」
しかし、可能性としてはゼロではない。もしバレたとしたら説教だけで済めば良いが…
「うちのクラスに一時的に転校してくることになった新たな生徒を紹介する。探検にも飛び入り参加してもらうから皆仲良くするんだぞー」
それは杞憂に終わった。俊道と一緒に胸を撫で下ろす。
しかし、こんな時期にこんな僻地の学校に転校してくるだなんてどんな物好きなのだろう。
教室のドアが開き、1人の女子生徒が入ってくる。その人が真ん中まで来た時、教室内で軽い歓声が湧いた。きっと、その生徒が非常に可愛らしい見た目をしていたからだろう。皆が目を輝かしているのが分かる。
その反面俺は、驚き呆れて声も出せなかった。理由は単純。俺はその人物を知っていたからだ。
長い前髪、水晶のように透き通った瞳、そして…
「伊美時音と言います。探検活動楽しみにしていました、よろしくお願いします」
風鈴が鳴るような美しい声色。
転校生とは、昨日神社で出会った伊美時音に他ならなかった。
点呼が終わった直後、すぐに夢香と俊道を廊下に呼び出した。
「間違いない。あの人が、昨日神社で出会った人だ」
「確かに伊美時音って名乗ってたしね。でも…なんか色々引っ掛かるよね」
夜の神社で偶然出会った翌日に、しかもやっと7月に入ったというこの時期に転校してくる。この2つの事象が偶然だとは思えなかった。
「…本人に問い詰めれば何か分かるんじゃね」
「虹輝くんならいける!」
「なんで俺がやる前提なんだ…?」
「そりゃあ唯一、あの人と顔見知りだし」
顔見知りと言っても、それ以上でもそれ以下でもない。正体を問い詰めるだなんて溜まったもんじゃない。
「ねぇねぇ」
突如、後ろから肩を叩かれた。後ろを振り向き、目を見開く。ちょうど噂していた伊美時音が笑顔で立っていた。
「昨日ぶりだね。えーっと…ホウキくん」
「わざとなのかどうか知らないけど俺はホウキじゃくて虹輝な」
「ありゃ、間違えた」
昨日から思っていたが、この人はやけに距離感が近い。ついつい、俺も軽口を叩いてしまう。そこまで不快ではないから別に良いけれど。
「ヒソヒソ…何かあの2人仲良くね?」
「ヒソヒソ…もうあんなに話せるんだ」
俊道と夢香の内緒話が聞こえてくる。仲良しかどうかは置いといても、話しやすいというのは事実だ。
「あ、昨日神社で虹輝と会いました伊美時音です。2人は虹輝の探検仲間だよね?」
知らない間に呼び捨てされていることには突っ込まないでおこう。
「私、成川夢香。虹輝くんとは幼馴染で探検仲間だよ!」
「へー可愛い名前。夢香ちゃんって呼んでいい?」
どうやら、誰に対しても距離感が近いようだ。所謂コミュ強というやつか。
「そして、君の名前は?」
案の定、俊道も話しかけられる。
「えっと…森山俊道」
「おお良い名前!うーん、としみっちとかどう?」
「と、としみっち…?」
俊道は困惑したかと思えば、すぐに目を煌めかせて何度も頷いていた。夢香からとしみーと呼ばれ、時音からとしみっちと呼ばれる。そう考えると中々ユーモラスだ。
「自己紹介も済んだことだし…実は3人に相談があってね」
時音は一呼吸おいて話し始めた。
「色々あって探検活動の為に転校してきたんだけど…先生から、『他のチームの探検を体験させてもらって、良いと思ったチームに加入して欲しいな』って言われたの」
「この時期の編入だと大変だよな」
俊道が相槌を打つ。
「でも、私はここのチームしかないなって思ってるんだ!」
「それまたどうして?」
「だって…衝撃的な邂逅をした虹輝がいるんだよ!?しかも3人とも凄く温かくてさ、もしも皆が良いっていうんなら、私をここに入れてください!」
時音が俺たちに頭を下げてきた。こういうところはしっかり礼儀正しいんだなと思う。
「ちょっと、3人で話し合っても良い?」
俺としては時音が加入することに異論は無い。しかし…時音の正体についてはやはり不可解な点が多すぎる。そこもふまえて、3人で話し合うべきだと思う。
「うん、大丈夫。私待ってるから」
「僕は…手放しに肯定はできないな」
教室に戻った矢先、俊道が呟いた。
「理由を聞いても?」
「うん。まあ時音の正体が分からないってのはあるんだけどさ。それともう一つ…俺たち、幼い時から約束してたよね、高校生になったら3人で探検しようねって。その約束がやっと叶って…って時に見ず知らずの新メンバーを入れるのは何だか煮え切らないんだ」
沈黙する。言い返すことはできない。何故なら、俺もそのような気持ちをほんの少しだけ抱いているからだ。
俺たちは幼馴染3人グループとしての認識が強い。たまに他の友達を誘って遊ぶこともあったけれど、やはり3人でいる時が一番楽しかった。
…考えた末、俺は1つ、決断をした。
「俺は…時音を受け入れたい」
2人の視線が一斉に俺の方を向く。
「いつまでも3人組に囚われていたら、俺たちの世界はずっと広がらないんだと思う。せっかくの探検だし…自分たちの殻を破ってみたいんだ」
俺の一声で2人は静まる。窓の外で鳴く蝉の声がやけに五月蠅く聞こえた。
「私も、時音ちゃんがいた方が賑やかになるし、新鮮だし、良いと思うな」
「僕も虹輝の訴えを聞いて気が変わった。既存のグループに囚われる必要は、無いんだよな」
俊道はほくそ笑んで続けた。
「時音さんがいれば、神社に入りやすくなりそうだしな」
「さてはそれが本音か…?」
何はともあれ、これで時音の正式加入が決定した。
「おーい、時音」
廊下に戻り、新たな仲間の名前を呼ぶ。彼女の表情には不安の色が滲んでいるような気がした。
「俺たち3人と、一緒に探検しよう」
時音は顔を綻ばせた。
「本当に…良いの?こんな急なお願いだったのに」
「時音ちゃんがいた方が楽しそうだもん」
と、夢香。
「ま、3人よりは4人の方が賑やかだろうね」
と、満更でもなさそうな俊道。
「よし、決まりだな。じゃあよろしくな、時音!」
時音は、向日葵みたいに笑顔を咲かせて答えた。
「よろしくね!」


