怜也という名前が男性によく似合っていて、思わずぼーっとしてしまった。
名は体を表すというけれど、本当にそうだなと感じた。

「下の名前を教えてくれる？」
「千尋です。飯沼千尋」

「千尋ちゃんか、いい名前だね」
「そうですか？　有名なアニメキャラと同じ名前だってよくからかわれるんです」
「あのキャラクターみたいに君もとても強いってことじゃないかな？」

そんな風に褒めてもらえるとは思っていなくてまた顔が熱くなるのを感じる。
薄暗い中でよかった。
顔の赤みはきっとバレないだろう。

そうして歩いている内にあっという間に家が見えてきてしまった。
ここから細い坂道を上がってすぐのところだ。
「ここで大丈夫です。送ってくださってありがとうございます」

坂道の下で立ち止まってお礼を言うと、怜也はスマホを取り出していた。
「よかったら、ライン交換しない？」
「え、い、いいんですか？」