一ヶ月の夏、僕らは思い出を見る

 枕元のスマホがブーっ、ブーっ、とバイブを鳴らす。
 
 「もしもし?水瀬君、起きてますか?」
 「おはよう彩花。どこに行くのか決めているのか?」
 「はい。今日はまずどこ行こうというよりかは私の家にきてほしいと思っているんです」
 「え?家?」

 知り合って2日目の、なんなら女の子の家にいく…?何かやましいことがあるのではないかと勘違いされてしまう。

 「何考えてるんですか?誘ってるのはこっちなんですから早くきてください」
 「だって女の子でさらに年下の家なんて行ったことないし」 
 「じゃあこれないっていうんですか?」

 電話越しに少し怒りっぽい声が聞こえる。否定するわけではないが、到底気持ちは乗らない。
 その時、下の階の親から手伝いをしてほしいと声がかかる。あっちからもこっちからも声がして大変だ。もうめんどくさくなってきた。
 何度も何度も言ってくる親に鬱陶しさを覚えてしまう。

 「ああ、わかったから!準備したら行く!」

 叫べば、親は早く来てねと戻って行った。
 ため息をつくのも束の間、電話越しにも声がする。

 「来てくれんるんですね!さすが先輩」
 
 電話を繋いでいたことを一瞬頭から抜かしてしまっていた。別に彩花に言ったわけではなかったのに。今までこんな朝から電話なんてすることがなかったからそのせいだ。

 「え、いや…違」
 「じゃあ家の住所送っておくので来てくださいね!」
 
 ぷつっ…と電話が切れる。部屋に響くのは僕が嘆いている声だった。

 「おにい、何してるの」

 部屋に声が加わる。次から次へと忙しい。
 水瀬 椎名。自分の妹で、高校一年生に上がったばっかだ。勉強を教えたり、お出かけしたりと仲は良い。

 「珍しく誰かと話してたけど、彼女でもできた?」
 「彼女がいないなんて一言も言ったことないけど」
 「え、いたの?聞いたことないけど」
 
 さすがに昔から一緒にいるだけあって、ちゃんと痛いところをついてくる。嫌な妹

 「だっておにい私としかお出かけしてなくない?」
 「いや、幼馴染がいた時は…出かけてた」

 幼馴染以外は見たことないし……と呆れるような顔で、