「いーち、にーい、さあーん…」
陸上部の体験入部。
わたし────舞山陽春は、頑張って準備体操をする。
体験入部した部活は陸上部で3つ。
バスケ部、バレー部。個人的にはスポーツ系が得意。
バスケ部は、先輩たちが明るく活動していていいなって思った。親友の知沙と行ったんだけど、知沙のプレーがうますぎて見惚れてた😅
バレー部は、県大会優勝候補の学校だからか、熱気がすごかった。
そして、陸上部。
「ポカリス◯ット〜?」
わたしの方を目掛けて親友2(真希)が走ってくる。真希も陸上部に入る予定。
「はいよ。」
わたしのあだ名は、陽春とかいてぽかりって読むから「ポカリス◯ット」って呼ばれてる。わたしと関わると身体能力が上がる、なんて根拠もない噂もある。
「50mタイム何秒?」
50mタイム…?急にどうしたんだろ。
「えっと…7.3秒とかかな?」
わたしの言葉を聞いて、真希の目が円になってしまった。
「ナナテンサンビョー…⁉︎」
「なにかあるの?真希、ほんとにどしたん」
「あのね、ぽかりは陸上部入った方がいいよ。走りを極めようー!」
「えーーー⁉︎わたし陸部以外にもバスケバレー体験入部したよ!」
真希は、チッチッチと指を振る。
「ぽかり、めっちゃ足速いのよ。もちろんバスケもバレーもいいと思うけど、ぽかりの原材料を名いっぱい使えるのは陸上部しかないよ!」
なんか分かりそうでわからない話をする真希。
「…じゃあ、今日の陸部の様子見て検討するね。」
わたしがそう言うと、真希はひまわりのような顔をして笑う。
「ありがとう、ぽかり!」


…ほんとにどうしたんだろう。
わたしは疑問を抱きながら準備体操を続ける。
「まーる!華道部体験いかないの?」
明るい大きな声が聞こえる。
あの声は、今年同じクラスになった女の子────山中緒花がイケメンでなんでもできる(らしい)緒花の友達────竹内真流を追いかけている。
「だから、今日はいいって。俺、塾あるし。」
2人、華道部入るんだ。意外。
…っていうか真流、塾行ってるの…?ここ、小中高一貫校だから、行く必要ないと思うけど。すごい👏
「ケチー。まーるのけーち。まーるのけーち。」
緒花は煽る。なんか幼稚園児みたいで可愛らしい😊
煽りの的になっている真流は、「ちょ。塾間に合わないから。やめて」という。
その言葉を聞いて、緒花は「えー。じゃあ、明日ね」と言って煽らなくなる。
…なんかいいな。
ふと思ってしまう。


「ポカリ◯エットー?大丈夫そ?」
真希が声をかける。────って…!
「大丈夫!」
「ほら、練習の時間だよ!早く行くよ!」
真希はわたしの手をぐいぐい引っ張る。
「えー。わかったから引っ張らないで💦」
わたしは仕方なく真希と一緒に練習に行った。