出来上がった議事録をクラウドの共有ファイルに上げる。
バックアップも取ったし、今日の業務としてはお終い。
バタバタとデスク周りを片付けると、パソコンの電源を落とした。

「ねぇ、二人はまだ帰らないの?」
「いや、俺たちもそろそろ出るよ」

 藤中くんの返事に、甲斐くんもうなずいた。

「もう終わりました。俺たちも片付けてこれから帰ります。お疲れさまでした」
「うん。じゃあね!」

 約束の時間はもうすぐ。
社内恋愛は禁止されているわけじゃないけど、付き合っていることを知られるのは、何となく仕事がやりにくくなるよねっていうことで合意して、チームの皆には話していない。
まぁ、宮澤さんや新井室長辺りには、何となくバレているような気はしているけど、直接何かを言われたことはないから分からない。
暗黙の了解ってことで、見逃されている気はしている。

 仕事終わりに二人で待ち合わせる時は、会社のすぐ近くは避けて、ちょっと離れた場所で落ち合うようにしている。
同じ社内の人に見つかって、噂されるのも面倒だしねって話になった。
会社を飛び出すと、いつもの公園を目指す。
五分前にはベンチに腰を下ろすと、彼がやって来るのを待った。