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「美紗は格好いいね」
 君がそう言ってくれるのが好きだった。
「美紗の笑顔、何にも負けないって感じで、僕、好きだなあ」
 格好いい私だったから、君が好きだと言ってくれる。
「美紗、働きすぎじゃないか? 少し休んだら?」
 それなら、多少の無理をしてでも、格好いい私でありたかった。
「大丈夫よ、心配しないで」
 笑顔を作って、君にそう言う。その笑顔は、君が好きだった私の格好いい笑顔ではなくなっていたのだろうか。
「……ねえ、美紗」
 わからない。どうしても、わからないの。
「──僕たち、もう、別れよう」
 あの日、そう言われた時に、笑顔で「わかった」なんて返さなければ。
 格好いい私を、取り繕わなければ。
 惨めでも、泣き崩れても、格好いい私じゃなくなっても。
 「別れたくない」と、「君が好きなんだ」と言えていれば。
 ──今も私は、君の隣で、生きていられたのだろうか。