達也の問いかけに夏美が即答する。
その表情には普段と違うトミーを見て不安の色が浮かんできていた。
「夏美、今までそういう演出がなくても、今日はそういう演出をしたのかもしれないだろ? そっちの方がよりリアルに怖がってもらえるから」

雄一の優しい声が入り込んできて、カメラがその姿を写した。
「そうなのかな?」
「あぁ。トミーは動画配信者なんだ。そんなに気にすることないって」

「でも……」
まだ不安そうな顔の夏美を見て雄一が笑う。
達也が雄一の腕を引いて小声で話しかけた。
「なぁ、夏美ちゃんはちょっと純粋すぎやしないか?」

「あぁ。だからだよ。夏美が引きこもりになったのは」
雄一が左右に首を振ってため息をついた。
「……なるほど。後々そういう話も聞けるか?」

「それは本人次第だな。お前がどれだけ夏美の心を開かせることができるか」
「難題だな……」
カメラはまだ心配そうにスマホを見つめている夏美を捉えた。