夏が終わって、ほんの少し肌寒くなってきた頃、私は君と出会った。


「転校生の小野寺啓哉(おのでらけいや)です!好きなことは、食べることと寝ることです!残り半年くらいしかないけど、よろしくお願いします!」


ふわっとした黒髪に人懐っこそうな笑顔が眩しい転校生は、犬のような愛らしさがあり太陽のような人でもあると感じた。

今まで誰かを好きになったことはないけど、そんな私でもはっきりとわかった。

これが、一目惚れというやつなのだと。


「席は、端っこのあそこ、桂木莉奈(かつらぎりな)の隣な」

「はーい!」


突然担任から名前を呼ばれ、思わずびくりと反応してしまう。

小野寺くんはキラキラとした瞳のまま私の隣までやってくると、にかっと笑いかけてきた。


「お隣、よろしくな!」


そんな小野寺くんに私は頷くことで精一杯だった。



「ねえねえ、小野寺くんってなんで転校してきたの?」

「んー親の都合みたいな」